遺伝的負因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 17:49 UTC 版)
2つの遺伝子、BRCA1とBRCA2は家族性の乳癌と関連している。この家系の女性でこれらの遺伝子が発現している者はそうでない女性に比べて乳癌に罹患するリスクが極めて高い。これを「遺伝性乳癌卵巣癌(Hereditary Breast and Ovarian Cancer, HBOC)症候群」と呼び、日本では専門に取り組むNPO法人が存在する。発症リスクを低減するために乳房の切除を検討・決断する人もいる。日本乳癌学会は、乳癌未発症者が乳房の両側を切除することを「弱く推奨」、既発症者が発症していない側を切除することを「強く推奨」するとの見解を示している。卵巣を含むこうした「リスク低減手術」は日本においては公的医療保険の適用外であるため、実施する医療機関は少数に集中する傾向がある。『読売新聞』の調査によると、日本では2018年末までに少なくとも57の医療機関で580件行われた。HBOC症候群とわかっても、費用の高さや最寄りの医療機関、かかりつけ医が躊躇・拒否することでリスク低減手術を断念する人もいる。このため患者団体や日本乳癌学会は、リスク低減手術を保険適用にすることを厚生労働省に要望している。 (p53遺伝子突然変異の)Li-Fraumenid症候群もまた同様で、全乳癌患者の5%にこの症候群が見られる。他の遺伝因子は乳癌では散発的に見られるだけである。
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