転位構文と再述代名詞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 21:36 UTC 版)
中国語(SVO型)には、文頭の名詞句に対応する代名詞が後方に存在する、左方転位構文(英語版)(left dislocation)と呼ばれる語法がある。このような代名詞は再述代名詞(英語版)(resumptive pronoun)と呼ばれ、上海語や広東語の処置構文(disposal construction)でも見られる。話題化構文においては、文頭に移動した名詞句の元の位置は空になるが、それも実はゼロ再述代名詞を含む左方転位構文だとする考え方もある。逆に、話題化によって空になった場所に再述代名詞が挿入されるという考え方もある。 普通話における再述代名詞の例 ※注: 那些=それら(の) , 他們=彼ら , Ø=「那些學生」の本来の位置a. 那些 學生1, 我 都 認識 Ø1。- 話題化構文(またはゼロ再述代名詞を含む左方転位構文) b. 那些 學生1, 我 都 認識 他們1。- 左方転位構文(または再述代名詞が付け足された話題化構文) いずれも、「それらの学生について、私は全員を見知っている」(「それらの学生の全員を私は知っている」)と訳せ、ともに正しい文である。なお、「認識」は「(人を)知っている」という意味で、「(物事を)知っている」は「知道」と言う。「都」は全称量化子で、上の例では「全員」と訳せるが、「大家」(皆、全員)というような、すでに「全」というニュアンスが含まれている単語にも伴わなければならない(「大家都知道...」=「...ということは、誰もが知っている」など)。 日本語においても、次のような再述代名詞が見られる。 皇位は1、皇統に 属する 男系の 男子が、これを1 継承する...(皇室典範第一条) - 末川博(編)『岩波基本六法』 p.24, 岩波書店, 1969. 1000系は1 昭和29年に 製造された 11000系が その1 前身で... - 『鉄道ファン』 1987.9, p.123, 交友社.
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