超短パルスアブレーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/12 07:02 UTC 版)
「チタンサファイアレーザー」の記事における「超短パルスアブレーション」の解説
従来のエキシマレーザーのような短波長のレーザーでは、そのフォトンエネルギーにより物質の化学結合を直接切断することができた。このプロセスは光化学分解や光化学反応伴うので光化学処理プロセスと呼ばれる。光化学処理プロセスでは周囲への熱影響が小さく、Nd:YAGレーザーやCO2レーザーのような赤外レーザーと比べて非常に精密で微細な加工を行うことができる。しかし、光化学処理プロセスでも完全に熱影響を無くすことはできない。それはレーザー光により分子を励起状態にし、化学結合を分解する事ができるが、同時に励起状態から基底状態への緩和も始まるためである。この緩和は非放射遷移のためかなり速く、そのためパルス幅がナノ秒オーダーのレーザーでは数マイクロオーダーの熱影響部が出てしまう。それに比べ、チタンサファイアレーザーのような超短パルスレーザーでは熱拡散よりも速くアブレーションが起こるので熱影響がほぼなくなる。また、超短パルスレーザーをある程度のエネルギーに集光を行うと、非線形多光子吸収を起こすようになる。これらの超短パルスに伴う現象は近年、活発に研究が行われている。
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