赤野四羽とは? わかりやすく解説

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赤野四羽

赤野四羽の俳句

あまい指からだのなかに遠蛙
あらばしり幸福語らしめる夜
もう何度ストラップの熊よみがえる
ゆるゆると歩め鶫は遅れくる
ページ繰る音の軽くて秋の蛇
ホットドッグ頬張り赤い花種蒔く
下萌や昏いところにある兆し
侮辱せよ真白い夏服に着替え
君だけの時間にもまた雪が降る
吸殻のようなからだで鮃食う
失われたものは還らぬ山葡萄
少しだけ約束してよ虫篭に
悔しさのような病や銀杏散る
悦楽や凍蝶重なりあわず落つ
意志はさて飛んでいくのか蜆汁
掘りつづけ枯野の果ての自由かな
月を知る鳥は夜には従わぬ
毛皮きて少女はきんいろに濡れる
水浸しの紫陽花父盲いたり
永き日に肩甲骨のみぎひだり
油照兵士は壁と壁になる
熟したるおとが零れる星月夜
百合の木や生は沈黙ならざりき
真っ青な海に倫理が滴れり
短日や視線たがいに縛りあう
神のみが水母正しくおそれけり
茄子の馬とうとう姉の夜がきた
誠実に鼬の罠は降りてくる
鉄線花譲るべからず濡れ歩け
雪女祝うひかりの濃い淡い
 

赤野四羽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/08 09:04 UTC 版)

赤野 四羽(あかの よつば、1977年7月23日[1] ‐)は、日本俳人[2]。2016年時点では三重県在住[1]

経歴

高知県高知市に生まれる[1]

2011年、東日本大震災および福島第一原子力発電所事故をきっかけに俳句作品製作を開始する[1]

2016年、第34回現代俳句新人賞受賞[1]

2022年度には現代俳句協会機関紙『現代俳句』にて現代俳句時評を担当した[3]

2023年、イタリアでディエゴ・マルティーナ(詩人、作家、翻訳者)によるイタリア語訳と原文(日本語)が併記された『CHIODI BATTUTI(打たれた釘、日伊併記版)』が刊行され、主要紙の『コリエーレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)』で高い評価を受けた(15点中13点)ほか[4]、バチカンのイタリア司教会議とつながりの深いL‘Avvenire紙でも大きく紹介された[5]

兜太現代俳句新人賞選考委員を務める(2021-2023)[6]

作風・評価

作家、俳人の武良竜彦は『指し示すアブシュールド ――赤野四羽句集『夜蟻』をめぐって』において、『表現方法も新しく、表現内容も、確かに「東日本大震災」後の「今」の表現の不可能性というものに体当たりで挑んでいる』と述べている[7]

また俳人の竹岡一郎は『【句集評】鶫または増殖する鏡像 赤野四羽句集「ホフリ」を読む』において、『「言語は事象の、運命の本質には決して辿り着けない。」けれども、この句を一つの宣言と捉えても良いのではないでしょうか。白と黄に明るく渦巻く無数の魂、成立を目指す独自の言語、独自の死、独自の屠りの上に成り立つ独自の生。』と述べている[8]

Corriere della Sera紙では、批評家のRoberto Galaverniが『現実と夢、存在と不在、音と静寂、感覚と非感覚など、自然界と人工世界を貫く相反するものの間の緊張が常に浮かび上がってくる。そして、それぞれのイメージが、それを取り囲む静寂と比例しているように見えるほど、その構図には明白なものがあり、並外れた力と暗示の効果がある。』と述べている。(in questo caso gli haiku in particolare, emerge sempre la tensione tra opposti che percorrono il mondo naturale e artificiale, tra realtà e sogno, presenza e assenza, suono e silenzio, senso e non-senso. E tanto è evidente nei componimenti che ogni immagine sembra proporzionata al silenzio che la circonda, con un effetto di straordinaria potenza e suggestione.)[9]

またAvvenire紙では、作家のVincenzo Guarracinoが『俳句は、他のどの詩の形式よりも、常に目に見えるわけではない現実の大要として、つまり、現実であれ夢であれ、全体を把握すること、手がかり、照明、そしてそれを創造すること(全体性のイメージ、細部に植えつけられた絶対的な真実)として、自らを明らかにしている。残酷さと驚異の間でバランスをとっているような場面で、赤野四羽は自然から自分自身へと中心を移す。』と述べる。(L’haiku, dunque, più di ogni altra forma di poesia si rivela come compendio di una realtà non sempre visibile, ossia come cogliere di un intero, reale o sognato, uno spunto, un’illuminazione, e lo si crea (immagine di una totalità, la verità assoluta instillata in un dettaglio).In una scena che sembra stare in equilibrio tra crudeltà e meraviglia, Akano Yotsuba sposta il centro dalla natura su se stesso.)[10]

2024年にイタリアで開催された文芸イベントBig Japan, Made in Japanでは、『同世代で最もカリスマ的な俳人の一人。世界の美しさと複雑さをわずかな言葉で表現する能力が高く評価されている(”Akano Yotsuba è uno dei più carismatici poeti haiku della sua generazione. Vincitore del Premio Nuove Voci dello Haiku Moderno, Yotsuba è apprezzato per la sua capacità di catturare la bellezza e la complessità del mondo in poche parole.”)』と述べられている[11]

著書

句集

  • 『世界を俳に』マルコボ・コム、2015年 [12]
  • 『夜蟻』邑書林、2018年[13]
  • 『ホフリ』RANGAI文庫、2021年[14][15][16]
  • 『CHIODI BATTUTI(打たれた釘、日伊併記版)』(I Quaderni del Bardo Edizioni、2023)[17]

共著

  • 『小川双々子の100句』黎明書房、2023年

賞歴

脚注

  1. ^ a b c d e f 平成28年度 第34回現代俳句新人賞 赤野四羽(あかの・よつば) - 現代俳句協会
  2. ^ a b 文化関係受賞者一覧 - 三重県(三重県文化賞)2023年11月24日閲覧。
  3. ^ 『現代俳句』2022年5月号 - eBooks
  4. ^ L’attualità dell’Ucraina, gli haiku (e un inedito): ecco la newsletter de «la Lettura»(イタリア語)
  5. ^ Vaticano-Tokyo uniti da un paravento (PDF) (イタリア語)
  6. ^ 兜太現代俳句新人賞 - 現代俳句協会(2023年11月24日閲覧)
  7. ^ 指し示すアブシュールド ――赤野四羽句集『夜蟻』をめぐって
  8. ^ 【句集評】鶫または増殖する鏡像 赤野四羽句集「ホフリ」を読む
  9. ^ L’attualità dell’Ucraina, gli haiku (e un inedito): ecco la newsletter de «la Lettura»(イタリア語)
  10. ^ Vaticano-Tokyo uniti da un paravento (PDF) (イタリア語)
  11. ^ Big Japan, Made in Japan(イタリア語)
  12. ^ Amazon
  13. ^ 邑書林
  14. ^ Amazon
  15. ^ KYOBOBOOKS
  16. ^ yesasia
  17. ^ Amazon
  18. ^ 第17回三重県文化賞受賞者表彰式及び功績披露を行います - 三重県(2018年5月24日)2023年11月24日閲覧。

外部リンク




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