親に倣って子も歌う (ヨルダーンス、ヴァランシエンヌ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/03 07:57 UTC 版)
フランス語: Les jeunes piaillent comme chantent les vieux 英語: As the Old Sing, So Pipe the Young |
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作者 | ヤーコプ・ヨルダーンス |
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製作年 | 1638-1640年 |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 155 cm × 209 cm (61 in × 82 in) |
所蔵 | ヴァランシエンヌ美術館 (ルーヴル美術館から寄託)、ヴァランシエンヌ |
『親に倣って子も歌う』(おやにならってこもうたう、仏: Les jeunes piaillent comme chantent les vieux、英: As the Old Sing, So Pipe the Young)は、17世紀フランドル・バロック期の画家ヤーコプ・ヨルダーンスが1638-1640年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。ルイ16世のコレクションに由来する作品で[1]、1957年以来[2]、パリのルーヴル美術館からの寄託作品としてフランスのヴァランシエンヌ美術館 (ヴァランシエンヌ) に所蔵されている[1][2][3]。
作品
飲食物の豊富に載った食卓の周りで歌い、飲む楽し気な人々は、アントウェルペンのブルジョワ階級の騒々しい姿を垣間見せてくれる。しかし、この絵画は、同時にオランダの古い諺である「親に倣って子も歌う (Soo d'oude song soo pepen de jong)」を図示したものである[2]。その諺は画面上部のカルトゥーシュにラテン語で高尚に記されており、子供たちは大人たちの悪癖を自然と真似るから、大人たちに自制するよう促している。かくして、絵画は教育のための真の比喩となっているのである。鳥かごに閉じ込められた鳥は自由を好む若者を象徴し、フクロウは死と世代間の継承を示唆していると考えられる[2]。


諺を描くというフランドルの伝統はピーテル・ブリューゲルにまでさかのぼり、ヨルダーンスはこの主題を何度か扱っている。1638年のアントワープ王立美術館の『親に倣って子も歌う』は、それよりやや遅く制作された本作の原型となったものである。また、少し異なる別のヴァージョンが絵画館 (ベルリン)、カナダ国立美術館 (オタワ)、個人コレクションに所蔵されている[2]。
フランドルの生活様式のを象徴するこの絵画は、同時にヨルダーンスの活力ある写実主義と物語の描写をも象徴する[2]。画家は単に3世代の人物を食卓の周りに配置しているのではなく、個々の人物を印象的に特徴づけている。祖父は水差しの蓋で拍子を取り、父親はバグパイプを吹き、若い母親は子供といっしょにいる。ヨルダーンス円熟期の本作は寓意としての力強さを持ちつつ、フランドル絵画の本質を要約している[2]。なお、この作品は、オランダの画家ヤン・ステーンの『親に倣って子も歌う』 (マウリッツハイス美術館、デン・ハーグ) にインスピレーションを与えたものである[4]。
脚注
参考文献
外部リンク
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