王様が飲む (ヨルダーンス、ウィーン)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/16 01:04 UTC 版)
| ドイツ語: Fest des Bohnenkönigs 英語: The King Drinks |
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| 作者 | ヤーコプ・ヨルダーンス |
|---|---|
| 製作年 | 1640-1645年 |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 242 cm × 300 cm (95 in × 120 in) |
| 所蔵 | 美術史美術館、ウィーン |
『王様が飲む』(おうさまがのむ、英: The King Drinks)または『豆の王の祭り』(まめのおうのまつり、独: Fest des Bohnenkönigs、英: The Feast of the Bean King)は、17世紀フランドル・バロック期の画家ヤーコプ・ヨルダーンスが1640-1645年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。1659年にレオポルト・ヴィルヘルム・フォン・エスターライヒのコレクションに入り[1]、現在、ウィーンの美術史美術館に所蔵されている[1][2]。
主題
作品は、客にパイが出される1月6日の公現祭の祝宴を表している。パイに入っている豆を見つけた者は、豆の王と宣言されて祝宴を司る。王様が選んだ最も美しい女性は女王となり、ほかの人物たちは宮廷の家臣となる[1][2]。そして、客たちは、「王様が飲む! 王様、万歳!」と叫ぶのである。作品の題名は、それにちなんでいる。
作品
画面の大部屋の中で、騒々しい一団が公現祭を祝っている。老いも若きも、男も女も、それぞれが王様によって与えられた役の格好をしている (床には、まだ王様の手紙が落ちている)[3]。王様は冠を被り、グラスを口元に当てている。宮廷の人々は、それに対して「王様が飲む」という伝統的な台詞を叫んでいる。人々の歪んだ顔は、高揚した酔っぱらい状態を示している。王様の上に見える毒見は、熱心に自分の役割を果たしている。左側の医者 (帽子の上の紙片でわかる) はすでに飲みすぎのため、食べ物の入った籠のそばで嘔吐しており、危ない状態である。画面上部のサテュロスの仮面の下の[1]カルトゥーシュには、「NIL SIMILIVS INSANO / QVAM EBRIVS (酔っぱらいほど愚か者に似ている者はいない)」というラテン語の道徳的な文言が見える[2]。
この絵画は、ヨルダーンスが多数制作した風俗画の1点である。人物たちは「最後の晩餐」のように巧みに配置され、彼らのうちの何人かは前面短縮法で表されている。なお、本作に類似した作品がロシアのペルミ国立絵画館に所蔵されているが、ヨルダーンスの周辺の画家に帰属されている[4]。
同主題作
ヨルダーンスは、何点かの同主題作を制作した。
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カッセル古典絵画館
脚注と注釈
- ^ a b c d 『ウイーン美術史美術館 絵画』、1997年、74頁。
- ^ a b c “Fest des Bohnenkönigs”. ウィーン美術史美術館公式サイト(ドイツ語の英訳). 2025年10月13日閲覧。
- ^ 王様の手紙は、たいてい16の役割をあてがった。王様、顧問、給仕係、侍従、長官、伝達人、聴罪司祭、医師、彫刻家、毒見、召使、歌手、音楽家、ポーター、愚か者、料理人であり、出席者の数に応じて役割が与えられた。女性は、女王、料理人、愚か者などになった
- ^ “Пир короля. Картина - Йорданс Якоб (школа) - Коллекция Пермской госудраственной художественной галереи” (ロシア語). permartmuseum.com. 2023年8月9日閲覧。
参考文献
- 『ウイーン美術史美術館 絵画』、スカラ・ブックス、1997年 ISBN 3-406-42177-6
- Arnout Balis, Frans Baudouin, Klaus Demus e.a., De Vlaamse schilderkunst in het Kunsthistorisches Museum te Wenen, 1987, p. 249
外部リンク
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