奇跡の漁り (ヨルダーンス)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/04 07:53 UTC 版)
フランス語: La Pêche miraculeuse 英語: The Miraculous Draught of Fishes |
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作者 | ヤーコプ・ヨルダーンス |
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製作年 | 1618-1620年 |
種類 | 板上に油彩 |
寸法 | 75 cm × 104 cm (30 in × 41 in) |
所蔵 | ストラスブール美術館、ストラスブール |
『奇跡の漁り』(きせきのすなどり、仏: La Pêche miraculeuse、英: The Miraculous Draught of Fishes)は、17世紀フランドル・バロック期の画家ヤーコプ・ヨルダーンスが1618–1620年に板上に油彩で制作した絵画である。作品は1911年以来、フランスのストラスブール美術館に所蔵されている (目録番号618)[1]。
作品
『新約聖書』中の「ルカによる福音書」 (5章1-11) によれば、イエス・キリストはガリラヤ湖畔の町ゲネサレト (Genezareth) で不漁に悩むペテロ、アンデレの兄弟と出会った。彼らがキリストにいわれた通りに沖に出て網を降ろすと、信じられないほどの大漁であった。その奇跡に驚き、ペテロとアンデレだけでなく、ヤコブ (ゼベダイの子) とヨハネの兄弟までもキリストの弟子となった[2]。
本作は長い間、ピーテル・パウル・ルーベンスの作品であると見られていた。彼は、漁師のペテロが登場する同様のいくつかの主題を取り上げていたからである。研究者ヴィルヘルム・フォン・ボーデが1911年にロンドンでストラスブール美術館のために本作をルーベンスの作品として購入し、1969年にルーベンス研究の専門家ユストゥス・ミュラー=ホフステーデもその帰属を認めた。1977年になってようやく、研究者の間で本作が長命であったヨルダーンスの画業初期の終わりの作品であるという合意が生まれた。その根拠は構図と色彩による[3]。
この絵画の目的は十分には解明されていない。油彩スケッチとしては大きすぎ、公的な委嘱作品としては描写が粗すぎるからである。失われている、もっと大きな完成作品、あるいはタピストリーのための習作であったのかもしれない。祭壇画の裾絵 (プレデッラ) であった可能性もある[1]。
脚注
- ^ a b Jacquot, Dominique (2006). Le musée des Beaux-Arts de Strasbourg. Cinq siècles de peinture. Strasbourg: Musées de Strasbourg. pp. 198–199. ISBN 2-901833-78-0
- ^ 大島力 2013年、128-129頁。
- ^ Hubrecht, Joël (February 2009). Collection du musée des Beaux-Arts – Peinture flamande et hollandaise XVème-XVIIIème siècle. Strasbourg: Musées de la ville de Strasbourg. pp. 113–115. ISBN 978-2-35125-030-3
参考文献
- 大島力『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13223-2
外部リンク
- 奇跡の漁り_(ヨルダーンス)のページへのリンク