袴掛観音の由来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 23:53 UTC 版)
『今昔物語集』巻第十六には、以下のような縁結びの十一面観音の説話が収録されている。 今は昔、敦賀に両親とともに一人娘が住んでいた。娘は何度か結婚したが、いずれも離縁となった。両親は、観音様を祀り、娘の幸せを祈った。両親が亡くなると、困窮し、娘は観音様に祈った。すると、夢に老僧が現れ「夫となるものが明日現れる」と告げた。翌日、大勢の従者を引き連れた一行が宿を貸してほしいと訪ねてきた。一行の主人は美濃の豪族の一人息子で、最愛の妻を亡くし、再婚話も断り、独り身でいた。その男は娘を見て、亡き妻と生き写しであることにとても驚き喜んだ。次の日、主人は従者を幾人か残し、若狭へ出かけていったが、娘は残った従者に食事など、もてなすこともできず困っていた。すると、昔、両親に仕えていたと名乗る女が現れ、食べ物を運んでくるなど手伝ってくれた。さらに次の日の夕刻、若狭から主人が戻ると、娘を美濃に連れ帰るという。娘はいろいろと助けてくれた御礼として、固辞する女に自分の紅の絹の袴を与えた。翌朝、敦賀を発つ前に観音様にお参りすると、昨夜女に与えた袴が観音の肩にかかっていた。観音様が女に変じて助けてくれたのだと気づき、娘は感謝して泣いた。その後、二人は美濃で幸せに暮らしたという。
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