行為タイプの豊かさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 10:02 UTC 版)
会話分析の利点は、順番交替(3-1)や修復(3-3)のように、必ずしも会話をする人びとに意識されているわけではないけれども、しかしはっきりと観察でき、秩序だった仕方で用いられている手続きを描けることである。行為連鎖の場合も同様である。たとえば「明日ひま?」という「質問」も、それがおこなわれる行為連鎖上の位置とデザインに注目すれば、それは「誘いの前置き」という、誘いの先行連鎖の第一成分であることが見えてくる。行為を分類する日常語の語彙の中に「誘いの前置き」という表現はないけれど、しかし 3-2-2-1 に書いたような特徴がはっきりわかるような仕方で、つまり単なる「質問」ではなく「前置き」として、私たちはその行為をおこなっている。このように、私たちが実際に用いている行為の種類は、自分自身が意識して言葉にできるよりももっと繊細で豊かなのである。
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