岩倉山 (長野県)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/19 08:10 UTC 版)
岩倉山(いわくらやま)は、長野県長野市信更町にある標高764mの山である[1][2]。犀川右岸に位置し[3]、虚空蔵山(こくぞうさん)ともいう。1847年の善光寺地震によって大規模な土石流が発生し、近隣の村々に甚大な被害をもたらしたことで著名である[4]。
善光寺地震
弘化4年3月24日(1847年5月8日)、マグニチュード7.4の激震が長野県の善光寺平を襲った[3]。いわゆる善光寺地震である。
この大地震では土石流や地すべりなどの土砂災害が各所で続発したが、その中でも長野市涌池の虚空蔵山(岩倉山)で発生した山崩れは特に大規模なものであった[2][5][6]。
激震で虚空蔵山が大崩壊して犀川を2ヵ所でせき止め、長さ約30kmの堰止湖(天然ダム)を形成して村々を湖底に水没させた[3][7][8]。山は強烈な地震動により一瞬にしてその姿を変えてしまったのである[5]。山の崩壊は3000万m3以上、せき止め湖の湛水量は2億5千万m3と推定され、日本における山津波・天然ダムとしては史上最大級のものとなった[9]。
この巨大せき止め湖は、地震から19日〜20日後の4月13日に決壊[3][9]。周辺に大洪水をもたらし、下流の善光寺平ではほぼ全域が浸水[10]、30以上の村が被災して100人以上が犠牲になった[4]。住民らは既に避難していたがそれでもこれほどの大被害となり、山津波の脅威をまざまざと見せつけたのである[11]。
本震による大被害のみならず、それから時間が経過した後になって地震を引き金とする二次的な洪水被害をもたらしたという点で、善光寺地震は典型的な「複合災害」であった。
脚注
- ^ “虚空蔵山 (岩倉山)”. alpineshinsyu.g1.xrea.com. 2023年3月31日閲覧。
- ^ a b 善光寺地震と土砂災害 (PDF) - 長野県
- ^ a b c d 『善光寺地震』 - コトバンク
- ^ a b 大木・纐纈 (2009), p. 55.
- ^ a b 鎌田 (2014), p. 159.
- ^ 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 (平成19年3月) 「1847 善光寺地震 第1章 災害の概要 (PDF) 」24ページ
- ^ 日本大百科全書『地震』 - コトバンク
- ^ 鎌田 (2014), p. 164〜165.
- ^ a b 善光寺地震で発生した虚空蔵山の崩壊による犀川のせき止めと決壊・洪水 - J-GLOBAL
- ^ “善光寺地震(1847)による犀川の岩倉山天然ダム”. isabou.net. 2023年3月31日閲覧。
- ^ “山津波”. www.cc.kochi-u.ac.jp. 岡村土研. 2023年3月31日閲覧。
参考文献
- 大木聖子・纐纈一起『地震の大研究』PHP研究所、2009年。ISBN 978-4-569-68953-1。
- 鎌田浩毅『パーフェクト図解 地震と火山』学研、2014年。 ISBN 978-4-05-406165-1。
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