自由電子のエネルギー固有状態・固有値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 09:32 UTC 版)
「自由電子」の記事における「自由電子のエネルギー固有状態・固有値」の解説
「自由粒子」および「エネルギー固有状態」も参照 自由電子はポテンシャルを V ( r ) = 0 {\displaystyle V(\mathbf {r} )=0} であるため、ハミルトニアンの固有値問題(定常状態のシュレーディンガー方程式)は次のように書ける。 − ℏ 2 2 m ∇ 2 ψ ( r ) = E ψ ( r ) {\displaystyle -{\frac {\hbar ^{2}}{2m}}\nabla ^{2}\psi (\mathbf {r} )=E\psi (\mathbf {r} )} ここでmは自由電子の質量、ħはディラック定数、温度は絶対零度(T = 0 K)である。これを解くと、得られるエネルギー固有値は次のようになる。 E ( k ) = ℏ 2 k 2 2 m {\displaystyle E({\boldsymbol {k}})={\frac {\hbar ^{2}k^{2}}{2m}}} ここで k {\displaystyle {\boldsymbol {k}}} は波数ベクトルである。よってE-k曲線(分散関係)は波数の二乗に比例し、放物線となることがわかる。 また得られるエネルギー固有状態は平面波であることがわかる。 ψ k ( r ) = 1 Ω r e i k ⋅ r {\displaystyle \psi _{\mathbf {k} }(\mathbf {r} )={\frac {1}{\sqrt {\Omega _{r}}}}e^{i\mathbf {k} \cdot \mathbf {r} }} ここで k {\displaystyle \mathbf {k} } は波数ベクトル、 Ω r {\displaystyle \Omega _{r}} は電子の存在する空間の体積である。この平面波は固体物理学や物性物理学でよく用いられる。ほとんど自由な電子模型や強結合近似、マフィンティンポテンシャルを用いた近似などのバンド構造を調べる上で基本となり、そのエネルギー固有状態はブロッホ関数となる。 時間依存シュレーディンガー方程式 − ℏ 2 2 m ∇ 2 Ψ ( r , t ) = i ℏ ∂ ∂ t Ψ ( r , t ) {\displaystyle -{\frac {\hbar ^{2}}{2m}}\nabla ^{2}\Psi (\mathbf {r} ,t)=i\hbar {\frac {\partial }{\partial t}}\Psi (\mathbf {r} ,t)} の解は次のように与えられることがわかる。 Ψ ( r , t ) = 1 Ω r e i k ⋅ r − i ω t {\displaystyle \Psi (\mathbf {r} ,t)={\frac {1}{\sqrt {\Omega _{r}}}}e^{i\mathbf {k} \cdot \mathbf {r} -i\omega t}} ω ( k ) = ℏ k 2 2 m {\displaystyle \omega ({\boldsymbol {k}})={\frac {\hbar \mathbf {k} ^{2}}{2m}}} ここで ω ( k ) {\displaystyle \omega ({\boldsymbol {k}})} は周波数である。
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