纏と火事装束
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 01:29 UTC 版)
纏(まとい)は、江戸消防のシンボルであり、「纏が火を消した」と言われることすらあった。もともとは、武士が戦場で掲げていた家紋つきの旗印や馬印に由来するものである。当初は幟型の纏が使用されていたが、のちに陀志(だし)と呼ばれる大きな頭部分と、馬簾(ばれん、纏の周囲に細長い厚紙や革を垂れ下げたもの)を備えた型に代わっている。各組を象徴するものとして様々なものがあり、豊臣秀吉から拝領したという伝承のあった加賀鳶の纏や、大岡忠相が考案し丸玉と四角の台を組み合わせた「い組」の纏などがあげられる。 大名火消の火事装束は、頭に火事頭巾(火事かぶと)、身体には革羽織に胸当・踏込(ふんごみ、あるいは野袴)といったものである。 火事頭巾には豪華な立物や錣(しころ)が取り付けられ、革羽織には金糸の縁取りや派手な彩色が施されるなど、華美であった。町火消の盛装は、印半天、腹掛、股引などである。火事場へはさらに刺子頭巾(猫頭巾、目の部分だけが開いている)、膝下まである刺子長半天などを着て出動した。半天の背中には組の紋が、えりには組名が染めつけられていた。刺子長半天には裏地に錦絵風の模様をつけた豪華なものもあったが、天保の改革によって規制されている。
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