締め込み_(落語)とは? わかりやすく解説

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締め込み (落語)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/12 23:33 UTC 版)

締め込み』(しめこみ)は、古典落語の演目。東京落語で広く演じられる。『時の氏神』(ときのうじがみ)とも[要出典] [注釈 1]。この項では、上方落語の『盗人の仲裁』(ぬすっとのちゅうさい)または、『盗人の挨拶(あいさつ)』(ぬすっとのあいさつ)についても記述する[注釈 2]。前田勇は「東京のは大阪から移植したもの」とする[2]。上方には改題による『性は善』(せいはぜん)という別題がある[3]

盗みに入った泥棒が、帰宅した夫婦喧嘩を仲裁する内容の滑稽噺である。

原話は、1802年享和2年)に出版された笑話本『新撰勧進話』の一編「末しら浪」[1][2][4]

『締め込み』の成立当初は、侍がやかんを盗むというストーリーだったが、上方の『盗人の仲裁』の要素が移入され、現在の演じ方が成立した[5]

あらすじ

長屋の、戸締まりされていない部屋の留守を狙って、泥棒が忍び込む。やかんが火にかかっており、住人がすぐに帰ってくると判断した泥棒は、急いで物色した衣類を風呂敷に包む。そこへ部屋の主の男(『締め込み』では八五郎)が帰ってくる足音が聞こえてきたので、泥棒は裏口から逃げようとするが、戸を開けると高い塀が立ちふさがっていたため(あるいは、裏口自体がなかったため)、とっさに台所の床板を上げ、縁の下に潜り込んで身を隠す。

男は泥棒が残した風呂敷包みを認め、「古着屋が見本に置いて行ったのだろうか」とつぶやきながら開ける。風呂敷の中に自分や妻の服が入っていることがわかると、「あの女は、俺の知らぬ間に間男を作って、荷物をまとめて駆け落ちをしようとしているのだ」と勘違いをし、激怒する。

男の妻が帰ってくるなり、男は妻に「出て行きたければ出て行け」と怒声を浴びせる。事情が飲みこめない妻に対し、男は夫妻の服が詰め込まれていた風呂敷を見せる。妻は自分の服があるのを発見し、「私の知らぬ間に女をこしらえ、ひそかに贈ろうとしたのですね」と泣き出し、早口で罵倒する。言い返せなくなった男は、そばにあったやかんを投げつける。

やかんは台所へ飛び、湯がこぼれて床下の泥棒にかかる。耐えかねた泥棒は飛び出して、「熱っ!!……待って、落ち着いてください。この風呂敷包みは私が作ったものです」と白状する。夫妻は「よく出てきてくださった。あなたが正直に話してくれなければ、自分たちは別れるところだった」と泥棒に感謝する。

以降、以下の2種類の落ち(サゲ)がある。

  • 泥棒が「これをご縁に、ちょいちょいうかがいます」と返事する
  • 泥棒の正体が露見して、男が妻に「表から心張り(または)をかけておけ」と命じる

落ちについて

原話に近いのは前節の前者である[2]。どちらが上方でどちらが東京かという区別はあまりなく、上方落語を扱った書籍(前田勇『上方落語の歴史 改訂増補版』、宇井無愁『落語の根多 笑辞典』)ではいずれも後者(表現は「嬶、表から閂入れとけ」)を落ちとして記し、前田はもとは原話に近い落ちであったと推測した上で「現行の(引用者注:戸締まりを命じる)サゲは東京に倣ったものではないか」と記している[2][4]。一方、東京の8代目桂文楽は、「またちょいちょいうかがいます」で落ちとしていた[1]

脚注

注釈

  1. ^ 上方に同題の別演目があるため、混同に注意が必要である。
  2. ^ 東大落語会『落語事典 増補』では、特に上方噺という断りなく、これらの演題を別題として記している[1]

出典

  1. ^ a b c 東大落語会 1973, pp. 233–234.
  2. ^ a b c d 前田勇 1966, pp. 250–251.
  3. ^ 前田勇 1966, p. 203.
  4. ^ a b 宇井無愁 1976, pp. 427–428.
  5. ^ 武藤禎夫 & 2007年, pp. ??(要ページ番号).

参考文献

関連項目

  • 出来心(花色木綿) - 隠れていた泥棒が住人の前に現れ、真相を暴露するシーンが共通している。
  • 転宅 - 泥棒が帰宅した住人に見つかって泥棒とわかった上で騙される演目

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