経済計算論争とランゲ・モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:29 UTC 版)
「オスカル・ランゲ」の記事における「経済計算論争とランゲ・モデル」の解説
ミーゼスやハイエクが、「中央当局(政府)は一般均衡(ワルラス均衡)の条件に関する十分な知識を持ち合わせておらず、市場原理を拡大してこそ理想的なリソースの分配が可能になる」という、いわゆる「市場原理主義」を主張したのに対し、ランゲは、「価格決定については市場原理を拡大することでは一般均衡の条件を達成することは不可能であり、中央当局の政策によってはじめて一般均衡条件に近づくことができるのだ」と、一般均衡条件に関する政府と価格決定の市場原理との相互補完性を強調した。 この相互補完性にあたって、彼は社会主義の立場から中央当局(政府)が主要資源(ヒト・カネ・モノ)の分配を一定の試行錯誤のもとで積極的に行うことでの経済効率性向上の可能性を述べ、これに基づいて総合的な経済モデルを提示した。このランゲ・モデルによって市場社会主義の道が初めて切り拓かれることになったのである。 ランゲ・モデルは、価格決定において「試行錯誤」を用いる手法(ランゲによるもともとの技術的な考え)の観点からはアバ・ラーナーの貢献により「ランゲ・ラーナー・モデル」としても知られ、またフレッド・テイラーの貢献によって「ランゲ・テイラー・モデル」ないし「ランゲ・ラーナー・テイラー・モデル」とも呼ばれることがある。これに対し、ランゲ・モデルは、価格決定において「連立方程式」を用いる手法(より数学的・計画的な考え)の観点からはディッキンソンの展開により「ランゲ・ディッキンソン・モデル」として知られる。
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