糖新生と解糖系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 04:21 UTC 版)
血糖値が高い場合、膵臓はインスリンを血中へ放出する。インスリンはPI3Kの活性化を引き起こし、PI3KはAktをリン酸化する。AktはFOXO1をリン酸化し、核からの除去を引き起こす。その後、リン酸化されたFOXO1はユビキチン化され、プロテアソームによって分解される。FOXO1のリン酸化は不可逆的であり、グルコース代謝と肝臓でのグルコース産生に対するインスリンの阻害効果を延長する。FOXO1のリン酸化によってグルコース-6-ホスファターゼの転写は低下し、その結果、糖新生とグリコーゲン分解の速度は低下する。 FOXO1はグルコース-6-ホスファターゼの他に、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの転写も活性化する。この酵素は糖新生に必要である。 FOXO1の活性はCBP(英語版)によって誘導される、 Lys242、Lys245、Lys262に対するアセチル化によっても調節されている。これらのリジン残基はDNA結合ドメインに位置しており、アセチル化によってFOXO1-DNA複合体の安定性が低下し、FOXO1のグルコース-6-ホスファターゼのプロモーターとの相互作用が阻害される。さらに、このアセチル化はAktによるSer253のリン酸化率を増加させる。Ser253のアラニンへの変異によって、FOXO1は恒常的に活性化状態となる。SIRT1(英語版)はこのアセチル化を除去するが、SIRT1がFOXO1を脱アセチル化する正確な機構は研究中である。アセチル化は、FOXO1の転写活性を緩和することで、インスリン/PI3K経路とは独立した新たなレベルでの代謝制御を行うと考えられている。
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