第12誠良丸事件

ウィキペディア

第12誠良丸事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2024/07/26 16:22 UTC 版)

第12誠良丸事件（だい12せいりょうまるじけん）は、日本漁船第12誠良丸の船長と漁網修理業者が、ソ連国境警備隊の指示により、日本の国内情報や露文タイプライターなどの物品をソビエト連邦に提供していたレポ船事件である^[1]。1984年（昭和59年）12月6日、北海道警察検挙^[1]。

概要

主犯の漁網修理業者は、日本の北方海域において漁業を営んでいたが、1981年（昭和56年）6月頃、ソ連国境警備隊と連絡をとるようになり、ソ連の主張する領海内で安全に操業する代償として、1983年8月までの間に8回ソ連と接触して、自衛隊の配備状況および軍事演習の動向、ならびに日本国政府要人の来往に関する情報などを提供した^[1]。また、ロシア語アルファベットのタイプライターなどを不法に持ち出していた^[1]。

北海道警察釧路方面本部は、1984年12月6日（木曜日）、漁網修理業者ならびに第12誠良丸の船長を逮捕した^[1]。根室簡易裁判所は、1984年12月26日、漁網修理業者を漁業法違反の罪で罰金15万円、第12誠良丸の船長に対しては検疫法、漁業法違反の罪で罰金10万円の判決を下した^{[1][注釈 1]}。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

1. ^ 日本にはスパイ活動そのものを取り締まる法律が存在しないため、防衛秘密の漏洩を含むスパイ活動事件を取り締まることができないのが実情である。

出典

1. ^ ^{a b c d e f} 『戦後のスパイ事件』（1990）pp.42-43

参考文献　

• 諜報事件研究会『戦後のスパイ事件』東京法令出版、1990年1月。 

関連文献

• 外事事件研究会『戦後の外事事件―スパイ・拉致・不正輸出』東京法令出版、2007年10月。ISBN 978-4-8090-1147-4。 

関連項目

• レポ船

表 話 編 歴 日本におけるソ連・ロシアのスパイ事件
1940年代	ゾルゲ事件（1941）
1950年代	三橋事件（1952） 関三次郎事件（1953） ラストヴォロフ事件（1954）
1960年代	オダンタラ事件（1969）
1970年代	コノノフ事件（1971） クブリッキー事件（1974） マチェーヒン事件（1976） ドリュー・ゴットリーブ事件（1976）
1980年代	コズロフ事件（1980） レフチェンコ証言問題（1982） 横田基地中ソスパイ事件（1987） 東京航空計器スパイ事件（1987）
1990年代	黒羽・ウドヴィン事件（1997） チェルヌィーフ事件（1997） 通商代表部員に係る業務上横領事件（1997）
2000年代以降	ボガチョンコフ事件（2000） シェルコノゴフ事件（2002） サベリエフ事件（2005） 在日ロシア通商代表部員らによる窃盗事件（ニコン事件、2006） ベラノフ事件（2007） ソフトバンク社員による機密情報のロシアへの提供事件（2020）
レポ船事件	第11幸与丸事件（1974） 第18和晃丸事件（1980） 第35功洋丸事件（1982） 第12誠良丸事件（1984） 第5日東丸事件（1985） 第65秀英丸事件（1991）
関連項目	背乗り 進展実業ココム違反事件（1976） 東芝機械ココム違反事件（1987） Template:ロシアの諜報機関 Template:ソビエト連邦のスパイ Template:北朝鮮スパイ事件 Template:中国スパイ事件