空気に触れた水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 01:21 UTC 版)
空気に触れた純水は酸性を示す。ただし、リトマス紙を赤変するほどではない、ごく弱い酸性である。これは、空気中の二酸化炭素が水中に溶け込むためである。空気に十分な時間接した後の水のpHは25℃で5.6になる。メカニズムは以下の通り。 水に溶け込んだ二酸化炭素分子 CO2 の一部は、水分子 H2O と反応して炭酸分子 H2CO3 になる。 CO 2 + H 2 O ↽ − − ⇀ H 2 CO 3 {\displaystyle {\ce {CO2 + H2O <=> H2CO3}}} 生成した炭酸分子のさらに一部は、電離して水素イオン H+ を放出する。 H 2 CO 3 ↽ − − ⇀ H + + HCO 3 − {\displaystyle {\ce {H2CO3 <=> H+ + {HCO3}^{-}}}} 炭酸の電離により放出される水素イオンの量は極めて少ないが、それでも純水に含まれる水素イオンの数十倍の量になる。また質量作用の法則により水の自己解離が抑制されるため、水酸化物イオンの量は純水に含まれる量の数十分の一になる。液体中に存在する H+ の数が OH− の数よりも多いので、空気に触れた水は酸性を示す。空気に含まれる二酸化炭素の割合は0.04%でほぼ一定であり、また大気圧もほぼ一定なので、二酸化炭素の分圧はほぼ一定である。さらに温度が一定であれば、CO2 の水への溶解度、H2CO3 が生成する割合、および H2CO3 が電離する割合もまた一定になる。25℃におけるこれらの数値を用いて計算すると、pH = 5.6 となる。
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