磁極の発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 03:58 UTC 版)
磁石の山の伝説はゲラルドゥス・メルカトルによって大きな発見をとげた。メルカトルは、当時研究されていた磁気偏角(方位磁針の指す向きが、場所によって真北からずれること)に着目した。そして、もし磁石が天の極や北極星を指しているのであれば、地球の日周運動によって磁気偏角は変化していなければならないが、実際には同一地点での磁気偏角は常に一定であるとして、磁石の指し示す地点は、天ではなく地球上にあると考えた。メルカトルは磁気偏角の観測値からこの地点を求め、1587年と1595年に自らが作成した地図に描き、「磁極(polus magnetis)」と記した。この磁極は山のような形で描かれているが、これまで信じられていた磁石の山や磁石の島のように、航海の際に危険になるという記述は無い。 このメルカトルの研究によって、伝説的だった磁石の山は、地球科学的な磁極へと生まれ変わったと考えられている。メルカトルの研究は、発表当時はさほど受け入れられなかったが、磁極の発見はやがて、地球は1つの大きな磁石であるというウィリアム・ギルバートの理論へとつながることになる。 もっとも、1595年時でのメルカトルの地図には、磁石の山ルペス・ニグラの周辺を「グリーンランドほどの島」が4つ取り囲み、その1島には「身長1,2mに満たない小人」が住むなどと書かれ、アニアン海峡、クロッカー島、フリースラント他の幻島が記載され、その当時すでに否定されていた「海水が落ちる大きな穴」に関する言及がある。
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