石田よし宏とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 人名 > 作家 > 歌人 > 歌人 > 石田よし宏の意味・解説 

石田よし宏

石田よし宏の俳句

いざといふとき老人のきれいな汗
かくれ逢ふ師走の雲の白さかな
とむらひの一人ひとりの手に蕾
はりがねの柵の行先春まつり
わがたましひ一つにあらず青芒
わが泳ぎいつか水平線上に
メーデーやぬるき湯槽が人浮かす
一本の縦なり白き服着るは
冬の星自分にだけの悪事かな
冬の虹手話の怒りを傍観す
奪はれし時間よ氷ふと熱し
威銃ひろびろと行き止まりかな
完璧はかなし祭の縄燃やす
悴むやこの橋どこへでも行ける
日盛りの紺とたたかふ鳥飼へり
星月夜妙に明るき死の話
木枯しのやうな男の後に蹤く
枯れ切つてピカソの天地左右かな
梅雨馴れの一速度もて喪状刷る
樫の樹に蛇のゐさうな風が吹く
樹の声や祭の果てし夜の空
死顔に一つ言葉ののどかなり
氷壁は女の誘ひかも知れず
深酒の闇にいろいろ風花す
深酒や師走の街のしづかな夜
滝壺のぞく誰もかもひとり
炎天の幹に父居る普段かな
炎天下声を薄めて誘ひたる
熱燗や手抜きを埋める手立てなど
父の日の公園背凭れなきベンチ
白粥は刃のかげりもつ十二月
稲妻の清く正しく闇濃くす
紫陽花の中にハモニカの低音
美しき稲妻となり遠ざかる
老人の日傘の黒に先んぜらる
老人性鬱的敬語いぬふぐり
聖書には申し分なき黒揚羽
花冷えの畳を伝ふ身の音叉
花柊言葉の要らぬ時間かな
茅の輪にはたしかに空気膜ありぬ
草野球途中花鳥諷詠論
著ぶくれて喫煙席の一人かな
薄翅蜉蝣とぶ空間のずれをとぶ
蛇穴を出てたましひの集まる樹
行末のあたり金魚鉢置きぬ
襟巻きの無駄な長さを野に翔たす
豊年の村に無数の扉がありぬ
路地ごとに冬濤荒るる日本海
青梅この表面張力が愛し
青空の重さが山車のちからなり
 

石田よし宏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/06 08:34 UTC 版)

石田 よし宏(いしだ よしひろ、1924年大正13年)11月20日 - 2015年平成27年)5月14日)は、日本俳人栃木県宇都宮市出身。宇都宮農林専門学校(現宇都宮大学農学部農業経済学科卒業。本名は石田 榮宏(いしだ よしひろ)。

現代俳句協会に所属した俳句作家(本人は俳人ではなく俳句作家という肩書きを好んで使っていた)で、作品は前衛的な俳句、難解俳句と評される。評論も得意とし、『月々のことば』と称する俳句の評論を、毎月はがきで発行し、ライフワークとなっていた。

20代で作句を始め、俳誌「風」、「鬼怒」(創刊同人)、「」を経て、平成12年「地祷圏」創刊・代表就任。平成21年通信句会『統』発足・主宰就任。

代表作に『人ごゑのごとく雨降る稲架明かり』(昭和52年俳句研究社主催全国俳句大会特選句)、『美しき稲妻となり遠ざかる』(平成21年句碑建立句)などがある。

略歴

  • 昭和20年 宇都宮農林専門学校農業経済学科(現・宇都宮大学農学部)卒業。同校綜合農場に勤務するが肺結核・股関節カリエス発病により石橋病院に入院。当時主治医であった木村三男(俳誌「風」同人)に俳句を師事した。(以後石橋病院に9年間入院)。
  • 昭和29年 石橋病院退院、栃木市に転居。トミ(随筆家・元國學院栃木短期大学教授)と結婚。
  • 昭和33年 謄写版印刷(のちのイシダ印刷有限会社)を始める。栃木県俳句研究誌「鬼怒」創刊同人。長女誕生。
  • 昭和48年 栃木県俳句作家協会設立に参加。
  • 昭和50年 栃木県芸術祭俳句部門審査員、栃木県芸術祭運営委員、栃木市俳句協会設立に参加。
  • 昭和61年 山本有三記念会設立に参加。
  • 昭和62年 とちぎ蔵の街第九の会設立に参加・初代事務局長就任(〜平成2年)。
  • 平成元年 栃木市俳句協会会長就任(〜平成18年)、栃木県現代俳句協会設立・会長就任(〜平成21年)。
  • 平成03年 朝日新聞栃木俳壇・選者就任(〜平成24年)。
  • 平成05年 旧栃木社会保険健康センター『ペアーレ』俳句講座・講師就任。
  • 平成06年 栃木市文化協会会長就任(〜平成13年)。
  • 平成11年 蕪村結城賞全国俳句大会・選者就任。
  • 平成12年 全国ふきわれ俳句大会・選者就任。
  • 平成14年 俳句同人誌「地祷圏」創刊・代表就任。
  • 平成20年 旧栃木駅舎保存会を設立(平成16年移転完了)、俳誌「鬼怒」創刊50周年・終刊記念号発行。
  • 平成21年 通信句会『統』発足・主宰就任。栃木県現代俳句協会名誉会長就任、栃木県現代俳句協会により、栃木市に句碑建立。

代表句

  • 『人ごゑのごとく雨降る稲架明かり』
  • 『美しき稲妻となり遠ざかる[1]
  • 『氷壁は女の誘ひかも知れぬ』
  • 『わがたましいひ一つにあらず青芒』
  • 『路地ごとに冬濤荒るる出雲崎』
  • 『枯れ切つてピカソの天地左右かな』
  • 『翔びさうな孫のまはりを銀杏散る』
  • 『炎天の幹に父居る普段かな』
  • 『蛇穴を出てたましひの集まる樹』
  • 『とぶ鳥が青空のきず春欅』
  • 『無縁死といふあこがれよ遠雪嶺』ほか

受賞歴

  • 栃木県俳句作家協会賞・S賞受賞(昭和51年)
  • 俳句研究社主催全国俳句大会特選(昭和52年)
  • 栃木県知事表彰(自立更生)(昭和56年)
  • 早野巴人顕彰全国俳句大会大賞受賞(平成2年)
  • 現代俳句協会50周年記念功労賞受賞(平成9年)
  • 厚生大臣表彰(自立更生)(平成11年)

著書

  • 第一句集「炎天の幹」(昭和57年)
  • 第二句集「宙間」(平成元年)
  • 評論集「月々のことば」(平成8年)
  • 第三句集「選者吟」(平成11年)
  • 朝日新聞栃木俳壇「選評集」(平成12年)
  • 第四句集「微光」上梓(平成13年)
  • 評論集「月々のことば」第二集上梓(平成13年)
  • 評論集「月々のことば」第三集上梓(平成20年)
  • 朝日新聞栃木俳壇「選評集」II・III(平成21年)

【地祷圏 創刊の辞より】格を破る 石田よし宏

面白い俳句とは一体何なのだろう。「俳句は破格の詩」であると言う。自分の格を破ることに俳句の存在価値があるというのである。自己模倣・類型類想からの脱却と言い換えてもいい。それが、取りも直さず面白い俳句の原点につながることに間違いはない。『地祷圏』とは、私たちの敬愛する宗左近氏が、縄文の大地に祈る下野の風土に対して命名されたものである。私は、この『地祷圏』という名の圧倒的な存在感に血が躍った。縄文の大地に祈る下野びとの自覚に感動した。今ここに、詩的環境を共有する私たち二十七名の同士が一堂に会し、格を破るエネルギーについて、論議すべき絶好のチャンスに恵まれた。

栃木市における文化活動

俳句以外の文化活動にも積極的で、昭和50年山本有三記念会設立、昭和54年栃木市文化団体連絡協議会設立、昭和61年とちぎ蔵の街第九の会設立(初代事務局長)、平成5年栃木市文化協会会長、平成14年旧栃木駅舎保存会設立(平成16年に移築保存成功)など、他方面にわたり多くの文化団体の設立に関わり、役職を歴任するなど、常に中心にあり、地域文化向上に尽力した。

脚注

注釈

出典




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「石田よし宏」の関連用語

石田よし宏のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



石田よし宏のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
現代俳句協会現代俳句協会
Copyright(C) 現代俳句協会
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの石田よし宏 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS