眼鏡による矯正
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 10:47 UTC 版)
眼鏡では、弱い乱視は矯正しないことがある。眼鏡による乱視の矯正は、物が縦長、横長または菱形に歪んで見えることによる空間視の違和感を招くことがあるため、それを避けるためである。弱い乱視ならば矯正しなくても、近視を強めにあるいは遠視を弱めに矯正することにより問題ない見え方を得ることができる。例えば C -0.50Dの乱視があっても、近視を S -0.25D強く矯正すれば2か所の焦線の中間に眼が調節することにより小さな錯乱円が得られるので実用上問題ない視力が得られる。 強い乱視にあってはそのような処方では満足の行く視力が得られないので、違和感を覚悟の上で乱視矯正をすることになる。その場合でも、実際より弱くしか矯正しないことも多い。乱視を実際より弱くしか矯正しなくても、近視を強めにあるいは遠視を弱めに矯正すれば問題ない視力を得ることができる。 どの程度の乱視から矯正するか、どの程度まで矯正するかは、患者の要望やそれまでの矯正にもよる。例えば、患者が鮮明な見え方を強く望めば、通常ならば矯正しない程度の乱視でも矯正することになる。強い乱視があったとしても、それまでに矯正したことのない者ならば、まずは実際より弱い矯正から慣らしていくことになる。すでに乱視を矯正する眼鏡に慣れている者ならば、実際に近いところまで円柱度を強めても違和感を生じにくい。現在の測定結果だけを見れば矯正する必要がない程度の乱視であっても、過去にもっと乱視が強かったなどの理由で円柱度の入った眼鏡に慣れていれば、弱い円柱度を入れたほうがよいだろう。そのほうが慣れた眼鏡からの変化が少なく、また、現在の眼鏡よりわずかでも見え方が不鮮明になると見え方に不満が出やすいからである。 軸角度についても斜めの軸角度では違和感が強く出やすいので、90度か180度かいずれかに近ければ90度か180度ちょうどの処方にすることもある。見え方は劣るが、違和感を減らすことが期待できる。
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