相続の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/25 19:27 UTC 版)
無権代理人が本人を相続した場合無権代理人が単独相続した場合 判例は「本人が自ら法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当」(最判昭和40・6・18民集19巻4号986頁)として当然に有効なものとしている。 無権代理人が他の相続人とともに共同相続した場合 判例は本人の追認権は全ての共同相続人に不可分的に帰属するとして、「他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではない」(最判平成5・1・21民集47巻1号265頁)とする。 本人による追認拒絶後に無権代理人が本人を相続した場合 判例は「本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない」とし、その理由として「本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効果が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができ(ないこと)」をあげている(最判平成10・7・17民集52巻5号1296頁)。 本人が無権代理人を相続した場合 判例は相続人である本人が無権代理行為について追認を拒絶しても信義則には反しないとして、「被相続人の無権代理行為は一般に本人の相続により当然有効となるものではない」(最判昭和37・4・20民集16巻4号955頁)とする。ただし、判例は本人が無権代理人を相続する場合にも相続の対象には民法第117条による無権代理人の債務が含まれるので、この債務については「本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあつたからといつて右債務を免れることはできない」とする(最判昭和48・7・3民集27巻7号751頁)。
※この「相続の場合」の解説は、「無権代理」の解説の一部です。
「相続の場合」を含む「無権代理」の記事については、「無権代理」の概要を参照ください。
- 相続の場合のページへのリンク