環境制御TEM
【英】:Environmental TEM
試料周囲にガスを導入して通常の鏡筒内真空よりも高い圧力環境下で試料観察ができるシステムを装備した透過電子顕微鏡。方式により隔膜型と差働排気型に大別される。前者は、試料ホルダ内にガス環境室(EC:environmental cell)を設ける方式である。ECにはガス導入/排気用通路が接続されるとともに環境室の上下には電子線透過用の穴が開いている。導入されたガスの鏡筒内へのリークを防ぐために、これらの穴にはカーボンや窒化ケイ素の薄膜(隔膜と呼ぶ)が貼られている。後者は、鏡筒内試料室にガスを導入する方式である。導入されたガスが鏡筒内各部に拡散して鏡筒内真空が悪化するのを防ぐために、たとえばポールピース内の上下など、試料上下の光軸上に複数組のオリフィスを組み込み、それぞれのオリフィスで仕切られた空間を差働排気している。試料と導入ガスとの間の反応過程のその場観察や含水試料観察に利用される。
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