狩野章信とは? わかりやすく解説

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狩野章信

読み方:かのう

江戸後期狩野派画家幼名次郎、名は彰信、後章信と改む。大玄齋、素川と号す。画法信政学び、後法眼となり幕府奥絵師に列せられる文政9年(1826)歿、64才。

狩野章信

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/24 09:47 UTC 版)

狩野 章信(かのう あきのぶ、明和2年(1765年) - 文政9年10月2日1826年11月1日))は、江戸時代中期から後期に活躍した狩野派(江戸狩野)の絵師江戸幕府御用絵師を勤める表絵師浅草猿屋町代地狩野家5代目。幼名は仙次郎、のち外記。名は彰信、50代で章信と改める。号は大玄齋、素川(そせん)だが、章信と署名するようになってからは、両者とも用いなくなったという。

狩野派にありながら浮世絵美人画にも学んだ、洒脱で機知に富んだ独特の画風は「素川風」と評された。

略伝

浅草猿屋町代地狩野家は、狩野永徳の弟子・祖酉秀信を祖とする表絵師の家系である。4代目の寿石賢信から継いだが、実父は宇多川徳元だとされる。1800年寛政12年)数え36歳で若隠居し、花街での遊蕩を好んだ。吉原の老妓の門弟も多かったという。粉本に依らない軽妙洒脱な画風で人気を博し、鳥文斎栄之風の美人図や春画も手掛けた。当時の狩野派内で最も有力だった狩野栄信ライバルと言われた。居宅に高楼を建てる趣味人で、『画道伝授口訣』という著作もある。

章信はいつも手ぬぐいを頭に被り脱がなかったという逸話が残るが、これは田沼候に招かれる際の出来事が元になっているという。自分は寒がりなので頭巾を外せないが、それでも良ければ参上すると答のが認められ、諸人がこれを真似たという。文政9年(1826年)死去、62歳。

弟子に、6代目の寿石圭信、川越城の杉戸絵を手掛けた舩津蘭山など。また、増上寺の「五百羅漢図」で知られる狩野一信も章信に学んだと言われる。

代表作

作品名 技法 形状・員数 寸法(縦x横cm) 所有者 年代 落款 備考
内裏雛図 絹本著色描表装 1幅 47.5x57.0 板橋区立美術館 1809年(文化6年)
美人図 絹本著色 1幅 42.3x54.0 板橋区立美術館
天癸両濫 絹本著色 1巻 白澤菴 1814年(文化11年) 款記「文化十一戌季秋」/「狩野」白文方印・「藤原章信」朱文方印 春画。黒塗りの外箱が付属し、金で「天癸両濫 狩野藤原章信書画(花押)」とある。「天癸」とは中国医学で人体の生長発育と生殖機能を促進するとされる物質。「天癸両濫」とは両性の天癸が溢れ出ることを願った題で、大名など貴顕の婚礼に際して描かれたと考えられる[1]
江都四時勝景図巻 絹本著色 乾巻・坤巻の2巻 乾巻:33.6 x1121
坤巻:33.6 x1168
江戸東京博物館 1816年(文化13年)
群馬図 板地著色 絵馬1面 安城市・根崎八幡神社 安城市指定文化財。3000石の旗本・松平正賢が奉納[2]
茅屋で戯れる男女 絹本著色 1幅 100.0x31.0 ウェストンコレクション(シカゴ 款記「大玄齋筆」/「叱」朱文長方印 あぶな絵風の作品[3]

脚注

  1. ^ 永青文庫 春画展日本開催実行委員会編集 『SHUNGA』 春画展日本開催実行委員会、2015年9月19日、pp.228-231。
  2. ^ 安城市/新市指定文化財(平成25年度)
  3. ^ 永田生慈監修 日本経済新聞社企画・編集協力 『シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵─美の競艶』 小学館スクウェア、2015年4月20日、pp.169,203、ISBN 978-4-7979-8573-3

参考文献

  • 我妻直美 「狩野素川彰信筆「江都四時勝景図巻」」『江戸東京博物館研究報告 第12号』 2006年3月、pp.217-231
  • 佐々木英理子(板橋区立美術館)編集 『板橋区立美術館所蔵 狩野派全図録』 板橋区立美術館発行、2006年4月
  • 安村敏信 『もっと知りたい狩野派 ─探幽と江戸狩野派』 東京美術〈アートビギナーズ・コレクション〉、2006年12月、pp.76-77、ISBN 978-4-8087-0815-3


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