溶融塩燃料電池とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 溶融塩燃料電池の意味・解説 

溶融炭酸塩型燃料電池

(溶融塩燃料電池 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/04 14:41 UTC 版)

溶融炭酸塩型燃料電池(ようゆうたんさんえんがたねんりょうでんち、: Molten-carbonate fuel cells, MCFC)とは、600 ℃以上の高温で融解させた炭酸塩電解質として用いる型式の燃料電池である。

概要

負極として水素が反応するニッケル電極、正極として酸素が反応する酸化ニッケル電極、炭酸イオン電解質となる炭酸リチウムおよび炭酸ナトリウムの混合物で構成された溶融炭酸塩とそれを保持するセラミックで構成されている。

これらは通常650 °C (1,202 °F) の非常に高い温度で動作するため、白金等の高価な触媒を必要としない特長を持つ。

溶融炭酸塩電解質は内部抵抗が低く、リン酸形燃料電池 (PAFC) プラントの効率37~42%よりもかなり高い60%に達する。高温の排熱は更にタービン発電等と組み合わせたコジェネレーション構成を採ることが容易で、全体的な燃料効率を85%と高くすることができる。

アルカリリン酸、および高分子電解質膜燃料電池と異なり、MCFCはより多くのエネルギー密度を持つ燃料を水素に分解するための外部改質器を必要としない。MCFCは高温で動作し、これらのガス燃料は内部改質と呼ばれるプロセスによって燃料電池自体の内部で水素に変換されるため、構成がシンプルになる。

MCFCは一酸化炭素二酸化炭素による被毒が発生しないため、これらを含んだガスも燃料として使用できる。この性質により、石炭やバイオマスを燃料源とすることが容易になる。他の形式の燃料電池よりも燃料の不純物に強いため、石炭の改質に起因する硫黄や微粒子などの不純物や、化石燃料のような不純物に耐性があるだろうと多くの科学者は考えている。

MCFCはCO2が陰極から排出されるため、排気ガスから高濃度の二酸化炭素を電気化学的に分離するために使用できるだろう。

現在のMCFC技術の主な欠点は耐久性である。これらの電池が動作する高温及び腐食性のある電解質は、部品の破壊および腐食を加速し、電池の寿命を低下させる。科学者たちは現在、コンポーネントの耐腐食性材料や性能を低下させずにセル寿命を延ばす燃料電池設計を検討している[1]

仕組み

背景

溶融炭酸塩型燃料電池 (MCFC) は、装置全体で0.3~3 MWの範囲で実用化されており、小型および大型の発電システムを対象とした、最近開発された種類の燃料電池である[2]。 稼働温度は600~700 ℃の範囲で、圧力は1~8気圧の範囲である[3]。装置内の内部改質により化石燃料から一酸化炭素 (CO) および水素 (H2) が生成され、その後陽極(燃料極)でこれらのガスが消費される。

反応式[4]

内部改質

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

すべての辞書の索引



Weblioのサービス

「溶融塩燃料電池」の関連用語

1
8% |||||

溶融塩燃料電池のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



溶融塩燃料電池のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの溶融炭酸塩型燃料電池 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS