深層水塊の動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 10:17 UTC 版)
以上のようにおもに大西洋で形成された深層水は、大西洋海盆から南アフリカ沖を経由して、インド洋に流れ込み、オーストラリアから太平洋海盆へと移動する。インド洋と太平洋では深層水は表面の海水と混合する。この混合に伴う上昇流は非常に遅いため、流速を計って上昇流の発生場所を調べるのは海洋表層で起きる風成循環と比べて大変に難しい。しかし深層水は深海で長い移動の途中で物質が沈んで分解したことによって化学的な特徴を持つので、これを北太平洋の表層で探すことで大規模な上昇流が起こる場所を知ることができる。 またコンピュータシミュレーションを用いることにより、深層水塊の動きを追跡することもできる。これによりインド洋と太平洋における混合以上に、南アメリカ大陸と南極大陸の間の緯度で吹く卓越風により、南極海で強い上昇流があることが分かってきた。この結果は、海洋の拡散係数の観測とも一致する。しかし一方ではこれに反する観測結果もあり、深層水塊の動きは未知の部分が多い。
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