最大フロー・最小カット定理とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 学問 > OR事典 > 最大フロー・最小カット定理の意味・解説 

最大フロー最小カット定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/07 20:05 UTC 版)

最大フロー最小カット定理(さいだいフローさいしょうカットていり、: Max-flow min-cut theorem)は、フローネットワークにおける最大フロー問題についての定理である。これは、ネットワークに流れる「もの」の最大流量が、ボトルネックによって決まることを意味している。線形計画法についての定理メンガーの定理から導出することもできる。

定義

左から:1. 与えられたネットワーク。各エッジの容量はすべて等しいとする。2. ひとつのフロー。3. 2の残余ネットワークと、その増加道。 4. 最大フローの残余ネットワーク。s から到達可能な緑の丸印のノードの集合をS, 不可能な青の四角のノードの集合をTとすると、(S, T) が最小カットになっている。

二端子フローネットワーク

最大フローのネットワーク。3つの最小カットがある。

右図はノード からなるネットワークであり、始点 から 終点 への総流量は 5 で、これがこのネットワークの最大である。

このネットワークには3つの最小カットが存在する。

カット 容量

が飽和しているにも関わらず、 は最小カットではないことに注意されたい。これは残余ネットワーク(residual network) において、エッジ (r,q) の容量が であるためである。

歴史

この定理は1956年、P. Elias、A. Feinstein、クロード・シャノンによって証明された。また、L.R. Ford, Jr. と D.R. Fulkerson も同じ年に独自に証明した。最大フローを求める問題は線形計画問題の特殊形式であり、最大フロー最小カット定理は線形計画の双対性定理の特殊ケースと見ることもできる。

脚注

注釈

  1. ^ フローが整数値だけでなく、一般の実数値を取ることができる場合、このアルゴリズムは停止するとは限らない。しかし、最大フローが存在するとしたら、この方法により、より流量の大きな新しいフローを得ることはできないのであるから、そのフローの残余ネットワークは増加道を含まないということは言える。その場合、最大フローの存在については、一般の線形計画法の問題に還元するなどして示すことになる。

出典

  1. ^ (藤重 2002, p. 54-59)

参考文献

  • P. Elias, A. Feinstein, and C. E. Shannon. Note on maximum flow through a network. IRE Transactions on Information Theory IT-2, 117--119, 1956.
  • Thomas H. Cormen, Charles E. Leiserson, Ronald L. Rivest, and Clifford Stein. Introduction to Algorithms, Second Edition. MIT Press and McGraw-Hill, 2001. ISBN 0-262-03293-7. Chapter 26: Maximum Flow, pp.643–700.
  • 藤重, 悟 『グラフ・ネットワーク・組み合せ論』共立出版、2002年。ISBN 978-4320016170 

関連項目

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

すべての辞書の索引



Weblioのサービス

「最大フロー・最小カット定理」の関連用語








8
18% |||||



最大フロー・最小カット定理のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



最大フロー・最小カット定理のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日本オペレーションズ・リサーチ学会日本オペレーションズ・リサーチ学会
Copyright (C) 2025 (社)日本オペレーションズ・リサーチ学会 All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの最大フロー最小カット定理 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS