書名の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 03:00 UTC 版)
「ターヘル・アナトミア」の記事における「書名の問題」の解説
『ターヘル・アナトミア』という書名は、杉田玄白の『蘭学事始』の中で使われている表記である。漢文で書かれている『解体新書』においては「打係縷亜那都米」と表記され「ターヘル・アナトミイ」とフリガナが付いている。『解体新書』の凡例の中で「ターヘル」が表、「アナトミイ」が解剖を意味しているとの適切な説明がある。 『蘭学事始』と『解体新書』により『ターヘル・アナトミア』の書名が流布されているが、これは俗称である。というのも原著名はドイツ語で「アナトーミッシェ・タベレン』、オランダ訳では『オントレートクンディヘ・ターフェレン』であり、いずれも『ターヘル・アナトミア』とはならないからだ。扉絵に書かれているラテン語では『タブラェ・アナトミカェ』(Tabulæ Anatomicæ)となっていて「ターヘル・アナトミイ』に割合近いが微妙に違う。 先述したラテン語題名 Tabulæ Anatomicæ を直訳すれば『解剖(学)図表(複数)』という意味であり、解剖学書としてはごくありふれた名称である。したがって『ターヘル・アナトミア』を正式な書名とするのは難しく、本来なら『解体新書』に記された他の参考解剖書に倣って『クルムス解体書』のように呼ぶのが妥当であるが、杉田玄白が『蘭学事始』の中で何度も『ターヘル・アナトミア』と表記しているので一般に広まっている。日本で一般に『ターヘル・アナトミア』と言えばクルムスの解剖書のことである。
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