日本人論における「本音と建前」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 01:56 UTC 版)
「本音と建前」の記事における「日本人論における「本音と建前」」の解説
前述の通り、日本的価値観に固有で日本人論の上で使われることから、英語を始めとする諸言語でも、しばしば『Honne and tatemae』と表現される。 欧米圏では交渉に際して、往々にして自身の要求を直接的に突き付けたり、そこまでいかないまでも、まず最大限に要求を示し、そこから互いの要求の内で重要度の低い箇所を削るなどして、相互の妥協点を探っていくが、日本人相手の交渉では、まずは互いに建前から入って交渉の余地を残し、次いで相互の妥協点まで埋めていくことが行われる。ことこの双方の様式が交錯すると、混乱が発生する。 最初に最大限の要求を突き付けた側は、もっと要求できるのではないかと戸惑いながら前進するも、いつの間にか前進させた箇所を侵食され、結果的に要求どおりにならない。一方の建前から入った側は、自身の方は予め譲れる箇所を明示したところ、一方的に要求が増やされるため不公平だと考え、更には不当とみなす。こういった混乱は貿易摩擦のような極大な現象にもしばしば発生し、商取引の場においても、あるいは至極個人的な対人関係においても混乱を引き起こす。 いわゆる「アルカイク・スマイル」(元はアルカイク美術にみられる微笑みの表情のこと)と呼ばれる日本人に特有の「曖昧な微笑」は、表情における建前である。この微笑みは、内心では相手に対して反感や怒りを感じていたとしても、崩されることはない。このためそれとは知らずマナーを侵した側が、相手がこの微笑みをたやしていないため、許してもらえていると誤解して、後で軋轢を引き起こすこともある。
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