新科かそれともラザロ分類群か?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/23 00:54 UTC 版)
「ラオスイワネズミ」の記事における「新科かそれともラザロ分類群か?」の解説
ラオスイワネズミが発見された際には、Jenkinsら(2005) は、それが全く新しい科にあたると考えた。現生哺乳類の属内の新種ならば、leaf muntjac(ホエジカの1種)やサオラ(ベトナムレイヨウ Pseudoryx nghetinhensis)のように周期的に発見される。これに比べて、全くの新科となるとかなり珍しい。ラオスイワネズミのLaonastidae科の前に西側世界で発見されたのは、1974年のキティブタバナコウモリ(Craseonycteris thonglongyai)の発見によるブタバナコウモリ科(Craseonycteridae)となる。それ以外で20世紀に発見された新科は、限られた専門家だけが独自の科だと考えている新種ばかりである。すなわち、1918年発見のヨウスコウカワイルカ (Lipotes vexillifer、ヨウスコウカワイルカ科、Lipotidae)、1905年発見のカンガルーハムスター(Calomyscus bailwardi、カンガルーハムスター科、Calomyscidae)、1904年発見のゲルディモンキー(Callimico goeldii、ゲルディモンキー科、Callimiconidae)である。1992年に記載されたKalinowski's Mouse Opossum(Hyladelphys kalinowskii)はオポッサム科に属しているが、独自の科と考えることもある。これ以外全ての現生生物を含む哺乳類の科は19世紀までに発見されている。 Jenkins (2004)は、ラオスイワネズミの標本を齧歯類の化石と比較していなかった。Dawsonら(2006)が比較したところ、すでに記載済みで化石のみが知られていたディアトミス科 (Diatomyidae) に所属することが判明した。ディアトミス科は漸新世初期(およそ3250万年前)から中新世(およそ1100万年前)までの一連の化石が知られている。ラオスイワネズミの発見は、化石記録にディアトミス科の動物が見付からない1100万年間もの空白があることを意味するので、Dawsonら(2006) は、ディアトミス科をラザロ分類群であるとした。同様の長期間を経た哺乳類のラザロ分類群としては、唯一チロエオポッサム(Dromiciops gliroides)が知られており、これも最も新しくて中新世の堆積層からしか発見されないミクロビオテリウム科 (Microbiotheriidae) に属している。Mary Dawson は、ラオスイワネズミのことを「齧歯類のシーラカンス」と表現している。
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