捨印の効力に関する最高裁判例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 01:51 UTC 版)
「捨印」の記事における「捨印の効力に関する最高裁判例」の解説
最高裁判所は1978年(昭和53年)10月6日、署名捺印された金銭消費貸借契約証書に於いて、遅延損害金の欄が空白となっていたのを、捨印が押されている事を利用して債権者側に於いて「年3割」と書き込んで司法書士を通じ抵当権設定登記が為されたことを巡り広島高等裁判所で争われた訴訟の判決に対する上告審(債権者側が上告)の決定を下した。なお、広島高裁での審理に於ける争点は遅延損害金「年3割」という内容が当事者間で合意が成立していたか否かにあり、そこでの判決は「遅延損害金の特約は認められない」というものだった。 最高裁が下した決定は広島高裁の判決を支持し上告を棄却するもので、その理由として「捨印がある限り債権者においていかなる条項をも記入できるというものではなく,その記入を債権者に委ねたような特段の事情のない限り,債権者がこれに加入の形式で補充したからといって当然にその補充にかかる条項について当事者間に合意が成立したとみることはできない」と示した。 この判示方から、捨印というものは、当事者間で達した基本的合意の内容を崩すこと無く明確な誤記の訂正を委ねるものに留まるものと解されている。
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