店頭デリバティブ規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 15:59 UTC 版)
「店頭デリバティブ」の記事における「店頭デリバティブ規制」の解説
2007年からの金融危機の後に、新たな金融危機を防ぐために世界規模でのマクロ・プルーデンス政策の整備が求められ、その一環として店頭デリバティブ規制が議論、実行されるようになった。危機後の店頭デリバティブ規制議論の端緒になるのが2009年に行われたG20ピッツバーグ・サミットでの首脳声明である。この首脳声明では遅くとも2012年までに標準化された店頭デリバティブ取引はすべて電子取引で扱われ、中央清算機構を介した決済が行われるべきであるとされた。中央清算機構を介した決済とは従来、相対で行われていた店頭デリバティブ取引の資金決済について、証拠金を担保として中央清算機構が債務を引き受け個々の金融機関の代わりに中央清算機構が資金決済を行うということである。中央清算が行われることにより、当局は店頭デリバティブ取引の全体像を把握しやすくなり、またカウンターパーティーリスクを抑えることも可能になる。ピッツバーグ・サミットでの首脳声明に基づき、証券監督者国際機構(IOSCO)の主導の下で各国で店頭デリバティブ取引関連法案の整備が進められた。米国では2010年7月にドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法、通称ドッド・フランク法が成立し、標準化されたスワップ(金利スワップ・CDS)の中央清算が義務付けられるようになった。欧州では2012年に欧州市場インフラ規制が施行されている。日本においても2010年から2012年にかけて金融商品取引法が改正されCDSとプレーンバニラタイプの円建て金利スワップが中央清算義務の対象となっている。2015年現在、各国で中央清算されない店頭デリバティブに対しても証拠金規制などが進められようとしているが、証拠金のための担保コストを嫌う金融機関からは反発も大きく、現段階では規制の施行には至っていない。
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