幼稚産業保護政策(幼稚産業論)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 06:36 UTC 版)
「産業政策」の記事における「幼稚産業保護政策(幼稚産業論)」の解説
特定産業を外国企業から保護するために、輸入・直接投資を制限する政策。直接投資の制限は、技術移転の遅れや雇用を創出しないなどの弊害があるが、現時点では国際競争力が無いが、将来は有望である国内の産業を保護・育成する効果があるとされる。 幼稚産業論は新興工業国で支持されることが多い。経済学者の伊藤元重は「フリードリッヒ・リストの幼稚産業保護論・産業政策に関する議論は、現在(2004年)でも多くの途上国の政策担当者に支持されている」と指摘している。 幼稚産業保護が成功した代表例は、南北戦争後のアメリカ、オットー・フォン・ビスマルク時代のドイツである。また、1950年代、ラテンアメリカ諸国は原材料輸出国から脱却して工業国としての地位を確立するため、多くの工業製品に関税や割当てを課していた。 幼稚産業保護は国家全体の技術レベルを向上させるようなハイテク産業には理論的にも説得力がある。しかし、現実的には国内で政治的影響力の強い産業が保護される結果となることや、政府が新技術のどれが最良か予測することも難しいという問題がある。また、幼稚産業として保護した特定の産業が自立できるほど成熟した後、その産業の保護を撤廃することが困難であることが多いという問題もある。
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