希薄な星間雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/19 01:03 UTC 版)
H3+ は1998年にマッコール (B. J. McCall) らによって希薄な分子雲 Cyg OB2 No. 12 でも検出された。1998年以前の予測では希薄な分子雲では H2 の密度が低すぎるために観測可能な量の H3+ は生成しないと考えられていた。マッコールはおよそ 27 K の温度、1014 cm−2 の柱密度で検出した(この柱密度はゲベールと岡が他の分子雲で検出したものと同程度)。それ以後、H3+ はそのほかの希薄な分子雲でも見つかっている。たとえば、GCS 3-2, GC IRS 3, ζ Persei である。これらの結果から、希薄な分子雲では高密度雲よりも宇宙線によるイオン化が速いことが示唆されている。GCS 3-2 について2005年までにさらに詳細なデータが集められ、銀河系の中心にある半径200パーセク程度の中心分子域で多量の準安定状態の H3+ が他の状態の H3+ や CO とともに観測されたこと、その領域にある準安定状態 H3+ は約 250 K という高温であることが報告された。これは高密度の分子雲や、他の冷たい H3+ の存在する領域ではみられないものである。
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