尾辻朋実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/24 12:12 UTC 版)
尾辻 朋実
おつじ ともみ
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参議院選挙の街頭演説に臨む尾辻(2025年7月17日、鹿児島県曽於市)
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生年月日 | 1981年1月17日(44歳) |
出生地 | ![]() |
出身校 | 早稲田大学政治経済学部政治学科 |
前職 | 参議院議員・参議院議長尾辻秀久私設秘書 |
所属政党 | (自由民主党→) 立憲民主党[注 1] |
親族 | 父:尾辻秀久(参議院議員) 叔母:尾辻義(元鹿児島県議会議員) |
公式サイト | おつじともみ |
選挙区 | 鹿児島県選挙区 |
当選回数 | 1回 |
在任期間 | 2025年7月29日 - 予定 |
尾辻 朋実(おつじ ともみ、1981年1月17日[2] - )は、日本の政治家。無所属の参議院議員就任予定者(1期)。本名は末原 朋実(すえはら ともみ)[3]。
来歴
鹿児島県鹿児島市生まれ[2]。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後[2]、三井物産や弁護士事務所での勤務を経て、2019年から父・尾辻秀久の私設秘書を務めた[4]。
2024年7月9日、秀久が翌年の第27回参議院議員通常選挙・鹿児島県選挙区には立候補せず、政界を引退することが報道により明らかとなった[5]。同月30日、尾辻は自由民主党(自民党)鹿児島県連を訪れ、同選挙区公認候補予定者の公募に応じた[6]。自民党の公募に応じた理由としては後に「自民党所属の参議院議員として活動していた父親が引退するタイミングで立候補を決意したため、自然の流れで応募した」と語っている[7]。尾辻のほか、元参議院議員の園田修光ら計9人が応募したが、県連は尾辻を選外とした[1]。
同年秋、候補者選びに難航していた立憲民主党鹿児島県連の所属衆議院議員・川内博史は、尾辻と父の秀久に接触。三者の間で尾辻が野党系無所属で立候補する方針が決まった[1]。同年12月24日、自民党県連は、党本部が園田を公認候補予定者に決定したと発表した[8][9]。尾辻は2024年分の自民党費を同年末までに納めなかったため、党籍は失効した[4]。
2025年1月11日、無所属で同選挙区に立候補する意向を明らかにし、同月13日に立憲民主党県連は尾辻の推薦を決めた[4]。同月、同党に入党した[1]。5月10日、社会民主党鹿児島県連合は総支部代表者会議を開き、尾辻を支援することを決めた。国民民主党鹿児島県連は「応援しない」とした[10]。6月28日、日本共産党は公認候補擁立を取りやめるとともに、共産党鹿児島県委員会は尾辻を自主的に支援していくと明らかにし、野党系候補者の一本化が成立した[11]。
選挙戦では父の秀久と同じ政治信条「虫の目に徹する」を掲げ[12]、「秀久のむすめ」と書かれたオレンジ色のタスキを着用、父親の知名度を生かして保守票の取り込みを図った[13][14]。また、自民党批判には終始せず、尊敬する人物として自民党の重鎮であった山中貞則[注 2]を挙げる配慮もみせた[15]。選挙活動は主に薩摩地方、姶良・霧島、離島地域で行われ、大隅半島入りは7月17日と18日朝のみ、大隅半島内での街頭演説も3か所[注 3]にとどまった[16][17]。
同年7月20日、参院選執行。投票締め切りの20時に各メディアは尾辻の当選確実を報じた[18][19]。自民公認の園田、参政党新人、NHK党新人の3候補を破り初当選を果たした。鹿児島県内の選挙区[注 4]では衆参を通じて初の女性国会議員となった[12]。
当選後も無所属として活動を継続することを明言しているが、川内は尾辻が立憲民主党所属の国会議員となるようアプローチを掛けていくとしている[7]。当確が報じられた後、南日本放送の選挙特別番組に出演し、「これまで公の場で、自民党に戻ることはないと明言されていた。その可能性はないと言い切れるか」との質問に対して、「当然可能性はありません」と答えた[20]。また、21日に受けた南日本新聞のインタビューでは、共産党が候補擁立を取り下げたことについて言及。「共産党さんの候補が立っていたら、立民支持者の『本当にこの人を信じていいのか』というわだかまりも今より残っていただろう。大きな転換点だった」と語った[21]。
人物
父の尾辻秀久は、尾辻が8歳の時にあたる1989年の第15回参議院議員通常選挙に自民党から比例区で初当選を果たした後、2013年の第23回参議院議員通常選挙で鹿児島県選挙区に鞍替えし、参議院議員を合わせて6期務め、厚生労働大臣や参議院副議長、参議院議長などを歴任している[23]。
叔母(秀久の妹)の尾辻義は元鹿児島県議会議員。
選挙歴
当落 | 選挙 | 執行日 | 年齢 | 選挙区 | 政党 | 得票数 | 得票率 | 定数 | 得票順位 /候補者数 |
政党内比例順位 /政党当選者数 |
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当 | 第27回参議院議員通常選挙 | 2025年 7月20日 | 44 | 鹿児島県選挙区 | 無所属 | 301,026[24]票 | 40.96%[注 5] | 1 | 1/4 | / |
脚注
注釈
- ^ 2025年1月に立憲民主党に入党したが[1]、同年7月の参院選は無所属で立候補した。
- ^ 当時の衆議院鹿児島県第5区選出の国会議員であり、2025年時点の自民党幹事長、鹿児島県連会長である森山裕は山中の後継にあたる。
- ^ 曽於市末吉町(山中貞則の出身地)、南大隅町根占、鹿屋市古江町(森山裕の出生地)。他候補のうち牧野俊一も大隅半島入りは7月18日のみ(街頭演説は鹿屋市、志布志市、曽於市末吉町の3か所)。一方で園田修光は7月16日のみに限っても街頭演説を6か所で行っている。
- ^ 村田享子(鹿児島市出身)が比例代表として2022年の第26回参議院議員通常選挙で当選している。
- ^ 鹿児島選挙区における当日有権者数は130万1716人。投票者数は73万5006人。得票率は301,026÷735,006×100で計算、小数点以下第3位を四捨五入している。
出典
- ^ a b c d “〈参院選を前に“鹿児島の乱”勃発!〉自民幹事長のおひざ元で、自民大物の娘が立憲にまさかの寝返り…「仲間割れの自民」VS「『何でもあり』の立憲」戦いの行方は”. 集英社オンライン (2025年1月17日). 2025年7月21日閲覧。
- ^ a b c “尾辻朋実 / おつじともみ (おつじともみ) | 参議院 鹿児島 推薦予定候補”. 立憲民主党. 2025年7月21日閲覧。
- ^ “第27回参議院議員通常選挙結果調(速報)” (PDF). 総務省. 2025年7月22日閲覧。
- ^ a b c “〈独自〉尾辻秀久参院議員の秘書で三女の朋実氏、参院選鹿児島選挙区に無所属で出馬 立民県連は推薦方針”. 南日本新聞 (2025年1月12日). 2025年7月22日閲覧。
- ^ 鈴木春香 (2024年7月9日). “尾辻参院議長が引退へ 「体力、年齢考え判断」 来夏選挙立候補せず”. 朝日新聞. 2025年7月21日閲覧。
- ^ “鹿児島選挙区自民候補公募 尾辻氏三女・朋実氏と園田氏が申請”. 鹿児島読売テレビ (2024年7月30日). 2025年7月21日閲覧。
- ^ a b 県選出初 女性国会議員 尾辻氏(44)に聞く 自民は何を改めるべき?“無所属”でどう声を届ける? 『KYT news every.』鹿児島讀賣テレビ、2025年7月21日放送分。
- ^ “来夏の参議院選挙、鹿児島選挙区の自民党公認候補予定者に園田修光・前議員「大変ありがたい」”. 読売新聞オンライン (2024年12月25日). 2024年12月30日閲覧。
- ^ Shimbun, Minami-Nippon. “2025参院選 鹿児島選挙区自民党公認候補に園田修光氏 県連「独自調査で園田氏が優位」 | 鹿児島のニュース | 南日本新聞”. 鹿児島のニュース - 南日本新聞 | 373news.com. 2024年12月30日閲覧。
- ^ “社民、立民推薦の尾辻氏を「支援」にとどめる 当初自民公募へ名乗りを不安視、時期ずれ込み 国民民主は応援せず 参院選鹿児島”. 南日本新聞 (2025年5月11日). 2025年7月21日閲覧。
- ^ “参院選鹿児島・共産松崎氏が出馬取りやめ 立民推薦の尾辻氏に一本化”. 南日本新聞 (2025年6月28日). 2025年7月21日閲覧。
- ^ a b 江口淳司「鹿児島選挙区 尾辻氏が初当選 自民破る 国政に女性 県選出初」『南日本新聞』2025年7月21日1面。
- ^ “たすきで「秀久のむすめ」 尾辻氏三女、古巣の自民前職ら破り初当選:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年7月20日). 2025年7月22日閲覧。
- ^ “参議院選挙鹿児島選挙区、尾辻朋実さん初当選…「秀久のむすめ」たすき着用で保守票の取り込みも図る”. 読売新聞オンライン (2025年7月21日). 2025年7月22日閲覧。
- ^ 永山一樹「自民常勝区に風穴 尾辻さん「虫の目に徹する」」『南日本新聞』2025年7月21日20面。
- ^ 吉松晃子「最終盤 激しい攻防」『南日本新聞』2025年7月18日2面。
- ^ 「4候補 主な動き」『南日本新聞』2025年7月18日2面(他の日も基本的に2面掲載)
- ^ “尾辻朋実氏が初当選確実、引退する元参院議長の三女 鹿児島選挙区”. 朝日新聞 (2025年7月20日). 2025年7月21日閲覧。
- ^ “【参院選】尾辻さんの当選確実(鹿児島選挙区)”. 南日本新聞 (2025年7月20日). 2025年7月21日閲覧。
- ^ “尾辻朋実さん 「虫の目」で立つ国政の大舞台…「自民党に戻る?」「当然可能性はありません」スタジオ出演一問一答 参議院選挙・鹿児島選挙区(2/2ページ)”. 南日本放送 (2025年7月20日). 2025年7月21日閲覧。
- ^ “「責任の重さを実感」鹿児島初の女性国会議員となった無所属の尾辻朋実氏 自民重鎮の父を持ち立民推薦を受けた「異色の候補」に抱負を聞く〈参院選〉”. 南日本新聞 (2025年7月22日). 2025年7月22日閲覧。
- ^ “参議院選挙・走る候補 尾辻朋実さん(44) 栄養源は芋焼酎 支えるのは料理人の夫”. TBS NEWS DIG(南日本放送). (2025年7月11日) 2025年7月23日閲覧。
- ^ “尾辻 秀久|おつじ ひでひさ|プロフィール”. www.otsuji.gr.jp. 2024年5月25日閲覧。
- ^ 「参院選鹿児島選挙区 市町村別最終得票」『南日本新聞』2025年7月24日4面
関連項目
外部リンク
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