小脳症状に加え多彩な神経症状がみられるもの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/07 14:33 UTC 版)
「自己免疫性小脳失調症」の記事における「小脳症状に加え多彩な神経症状がみられるもの」の解説
抗Ri抗体 抗Ri抗体は小児では神経芽細胞腫、成人では乳癌や肺小細胞癌に随伴する。小脳失調症に加え、オプソクローヌスやミオクローヌスを示す 抗Hu抗体 歴史的には肺小細胞癌に伴う亜急性感覚性末梢神経障害において報告されたが、その後、肺小細胞癌に伴う小脳変性症の抗プルキンエ細胞抗体typeⅡa抗体と同一のものであると判明した。抗Hu抗体は肺小細胞癌のほかに前立腺癌、肺腺癌、副腎癌、神経芽細胞腫に随伴する小脳失調でも報告されている。また小脳症状のみならず辺縁系脳炎、脳幹脳炎、脊髄症など多彩な症状を示す。 抗Ma抗体 抗Ma抗体は中枢神経系のほとんどの神経細胞の核小体に免疫組織化学で染色性を示しMa1、Ma2、Ma3すべての蛋白を認識する。抗Ma抗体を合併する小脳変性症は精巣癌に合併することが多いが、肺癌や乳癌も報告されている。一方、Ma2のみを認識する抗Ma2抗体は辺縁系脳炎、脳幹脳炎に出現する。この場合も小脳症状を示すことがある。 抗CRMP-5/CV-2抗体 抗CRMP-5(CV-2)抗体は乏突起膠細胞の細胞質に結合する抗体で免疫組織化学では小脳分子層、脳幹、脊髄の白質に染色性が認められる。肺小細胞癌や胸腺腫に随伴し、小脳変性症、末梢神経障害をほぼ同じ頻度で示す。また舞踏病、ジストニア、パーキンソン症候群、視神経炎、嗅覚障害、味覚障害、脳神経症状など多彩な神経症状を示すことも特徴である。 抗ANNA-3抗体 プルキンエ細胞とゴルジ細胞に染色性を示し170kDaの神経蛋白を認識する抗体である多くは肺小細胞癌に合併し小脳変性症を示すが、他に辺縁系脳炎、感覚性発作、脳幹脳炎、脊髄症、末梢神経障害を呈する。 抗PCA-2抗体 プルキンエ細胞に染色性を示し280kDaの神経蛋白を認識する抗体である。肺小細胞癌に合併し、小脳変性症を示す。また辺縁系脳炎、脳幹脳炎、ランバート・イートン症候群が合併することもある。
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