小型衛星PFS-2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/14 03:12 UTC 版)
PFS-2は機械船から月周回軌道に放出された小型人工衛星で、主な目的は地球を周回する衛星としての月の荷電粒子や磁場を測定することであった。これは8ヶ月前にアポロ15号で放出されたPFS-1と同一のもので、両者とも近月点89キロメートルから遠月点122キロメートルの楕円軌道で月を周回した。 だが奇妙なことに、PFS-2の軌道は急激に変化した。1.5から2週間のうちに、月面まで9.7キロメートル) という至近距離まで接近したのである。その後また軌道を変えて近月点は48キロメートルまで遠ざかったが、それも長くは続かなかった。衛星は次第に月に近づいていき、1972年5月29日、35日間で軌道を425周しただけでPFS-2は月面に墜落した。 後年、月を周回する多くの人工衛星を研究した結果、科学者たちは低高度の月周回軌道は不安定なものであることを発見するに至った。当時の研究者たちは知らなかったことなのだが、PFS-2は軌道傾斜角が11度という、最も不安定な軌道の一つに投入されたのである。これはこの後に発見された、傾斜角27度、50度、76度、86度の凍結軌道という安定した軌道とは大きくかけ離れるものであった。
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