寿命とコレステロール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 21:45 UTC 版)
「コレステロール」の記事における「寿命とコレステロール」の解説
一般に血中コレステロール量は加齢により変動し、通常は60歳代まで徐々に増大する。またヒトにおいてはコレステロールレベルの季節変動が認められ、冬季には平均よりも高くなる。また、脂質異常症が循環器疾患を引き起こす危険因子であるので、血中コレステロール値の大小で寿命が影響を受けると考えられてきた。それゆえ、寿命とコレステロールの関係については注目されてきており、すでに米国で大規模な疫学調査 MRFIT (multi risk factor intervention) が実施されている。 その結果は予想に反して、コレステロール値は高すぎても、低すぎても寿命を短縮するというものである。MRFITの解析結果によると、血中総コレステロールが200 mg/dL以上では冠動脈疾患による死亡率が急速に増大し、180 mg/dL以下では冠動脈疾患による死亡率は低減せずほぼ一定になることが判明している。一方、血中総コレステロールが180 mg/dL以下では冠動脈疾患以外による死亡率が増えるため、結果として血中総コレステロールが180–200 mg/dLが最も死亡率が低下することが判明した。 米国でのMRFIT以外にもヨーロッパや他の地域でも同様な疫学調査がなされており、同様な結果が得られている。 コレステロールの値が高いほど心筋梗塞のリスクが高まり、コレステロールの値が低いほど脳卒中のリスクが高まり、血中総コレステロールが180–200 mg/dLが最も死亡率が低下し、長寿であることが指摘されている。この結果や前述の説明のように血中コレステロールの総量よりはその種類(LDLコレステロールとHDLコレステロールあるいは酸化型リポタンパク質の存在)などコレステロールの質が寿命と深く関わっていると考えられている。
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