実数からなる集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/29 19:02 UTC 版)
正の実数全体の成す集合 R+ に通常の大小関係 ≤ を考えたものは整列順序ではない。例えば開区間 (0, 1) は最小元を持たない。一方、選択公理を含む集合論の ZFC 公理系からは、実数全体の成す集合 R 上の整列順序が存在することが示せる。しかし、ZFC や、一般連続体仮説を加えた体系 ZFC+GCH においては、R 上の整列順序を定義する論理式は存在しない。ただし、R 上の定義可能な整列順序の存在は ZFC と(相対的に)無矛盾である。例えば V=L は ZFC と(相対的に)無矛盾であり、ZFC+V=L ではある特定の論理式が R(実際には任意の集合)を整列順序付けることが従う。 R の非可算部分集合に通常の大小関係を入れたものが整列集合にならないことは、実数直線 R を互いに交わりを持たない区間の和に分割するとき、そのような区間の数が高々可算であることからわかる。可算無限集合ならば、通常の大小関係 ≤ が整列順序となることも、ならないこともありうる。整列順序となる例としては次のようなものが挙げられる。 集合 {−2−n | 0 ≤ n < ω} は ω を順序型に持つ。 集合 {−2−n − 2−m−n | 0 ≤ m, n < ω} は順序型 ω2 を持つ。一つ前の例に挙げた集合は、この集合に集積点の集合として含まれる。実数全体の成す集合 R の中では(通常の位相でも順序位相でも)0 も集積点に含まれる(これは集積点全体の成すの集合の集積点にもなっている)。 集合 {−2−n | 0 ≤ n < ω} ∪ {1} は順序型 ω + 1 である。この集合に順序位相を考えれば、1 は集積点であるが、R に通常の位相(順序位相でも同じことだが)を入れても 1 は集積点にはならない。
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