大野百合子 (詩人)とは? わかりやすく解説

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大野百合子 (詩人)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/28 06:18 UTC 版)

大野 百合子
(おおの ゆりこ)
遺稿詩集『雪はただ白く降りて』より。
1932年(昭和7年)7月撮影。
誕生 (1908-04-24) 1908年4月24日
北海道余市町
死没 (1938-09-26) 1938年9月26日(30歳没)
国籍 日本
最終学歴 小樽高等女学校(中退)
ジャンル
ウィキポータル 文学
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大野 百合子(おおの ゆりこ、1908年明治41年〉4月24日[1][2] - 1938年昭和13年〉9月26日[3])は、日本詩人。才能に恵まれながらも早世した女流詩人とされる[4]

経歴

1908年(明治41年)4月24日、北海道余市町で誕生した[1][5]。1917年(大正6年)に小樽区に転居[2]。小樽高等女学校(後の北海道小樽桜陽高等学校)に入学したが、病気により中退[1][4]。上京して洋裁を学び[2][6]、1926年(大正15年)に小樽洋服裁縫女学院を設立した[1][7]。1932年(昭和7年)の解院までに、約200人の卒業生を送り出した[2][8]

20歳代から、詩作に本格的に取り組み[4][8]、文学雑誌『新短歌時代』『詩歌建築』などに詩を投稿した[1]。詩人の宮崎丈二に認められたことで[1][7]、宮崎に師事し[9]、1931年(昭和6年)[2]、同人誌『河』に参加した[1]。当時の同人の1人は百合子を「不意に窓から吹き込んできたような微風」と表現した[6]。1933年(昭和8年)までに、61編の詩を発表した[1][7]。『婦人公論』1932年(昭和7年)正月号の付録「全国代表婦人」では、職業婦人の1人として名が挙げられた[2][8]

1935年(昭和10年)に結婚して満州に渡った後[3][4]結核により[9]、1938年(昭和13年)9月に30歳で早世した[3]

評価

大野百合子の詩風は、高村光太郎宇野浩二といった作家たちからも絶賛を受けた[1][7]。「真面目で豊かに満ちた感性」とも評価された[1]。宮崎丈二は、百合子の死去の翌年に発行された遺稿集『雪はただ白く降りて』の序文において、その詩を、孔子の言葉を引用して「全く思ひ邪(よこしま)なしと云ふ感じがする」と述べた[10][11]

平成期には、北海道小樽市市立小樽文学館で「絵と書で描く小樽・詩の世界コンクール全応募作品展」が2006年(平成18年)に開催され、小樽界隈ゆかりの作家の詩からイメージした絵や書を子供たちから募集したところ、百合子の詩に最も多くの絵が寄せられた。このことで、「平明でやさしい百合子の詩が、思っていたよりずっと力強いことに気がついた」との声もあった[11]

同時期に詩人として活動した左川ちかは、北海道余市町で誕生、小樽高等女学校出身、早世と大野との共通点が多く、二人が並べて紹介されることも多い[6][9]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j 芳賀他 1998, p. 209
  2. ^ a b c d e f 宮崎 1939, p. 75
  3. ^ a b c 宮崎 1939, p. 76
  4. ^ a b c d 「大野百合子の生涯 小樽育ち、早世の詩人 市立文学館で企画展」『朝日新聞朝日新聞社、2016年11月19日、北海道朝刊、24面。
  5. ^ 企画展「大野百合子展 - 心にしあわせを咲かせる詩」”. 市立小樽文学館 (2016年). 2021年11月7日閲覧。
  6. ^ a b c おたる文学散歩 第12話”. 小樽市 (2021年1月14日). 2021年11月7日閲覧。
  7. ^ a b c d 北海道文学館 1980, pp. 72–73
  8. ^ a b c 「早世の詩人 遺稿集復刻 小樽文学館編集、企画展も」『読売新聞読売新聞社、2016年11月6日、東京朝刊、26面。
  9. ^ a b c 立風書房 1981, p. 373
  10. ^ 宮崎 1939, p. 1.
  11. ^ a b 玉川薫「朝の食卓 思ひ邪なし」『北海道新聞北海道新聞社、2006年10月28日、全道朝刊、36面。

参考文献




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