大和言葉の漢字依存
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 05:16 UTC 版)
大和言葉は隣国の中国から漢字を借り入れたことによって微妙な意味の差を漢字で表現できるようになった。例えば、「なく」を漢字で書くと、「泣く」、「啼く」、「鳴く」のどれかを使うことによって微妙な意味の差を表現できる。一方で、中国文学者の高島俊男は、大和言葉に漢字を当てるのはおかしく、例えば、「とる」の意味は大和言葉では1つなのであり、「取る」、「採る」、「捕る」、「執る」、「摂る」、「撮る」と書き分けるのは無意味であると主張している。 民俗学者の柳田國男は、大和言葉にどのような漢字を書くのか尋ねることを「どんな字病」と名付け、警告した。最近はパソコンですぐに難しい漢字が出てくるためになおさら安易に漢字を多用する傾向があるといわれている 。 国文学者の中西進は、漢字依存が大和言葉のもつ本来の意味を失わせてしまい、例えば、「かく」に「書く」、「描く」などと漢字を変えて区別するようになったことにより、縄文土器を製作する際、柔らかい粘土を先の尖った物で引っ掻いて模様を描くことからわかるように、掻いて表面の土や石を欠くという「かく」の本来の意味がわかりにくくなったと指摘している。
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