土置き

刀剣用語解説集

土置き（つちおき）

刀身に刃文の意匠を施す作業をいい、その技は焼入れとともに刀剣製作の最終段階の、そして修整することのできない最重要工程である。各刀匠により秘伝とされる焼刃土は、不純物の少ない粘土に炭粉や荒砥粉等を混合した粘性の高い物質。まず刀身全体（棟側を厚く刃側を薄く）に引き土を施す。乾いた後表現する刃文を想定して、土を厚く塗り重ねる置き土や薄く掻き取る土取りの作業で薄厚、高低、広狭等焼刃土の量に変化をつけて刀身上に描き出す。この作業を総じて土置きと称する。この後に刀身を炉内で赤熱し、焼入れ作業を行う。土で厚く覆われた部分は焼が浅くゆるやかに入り、土の薄く置かれた刃部は焼が深く入って研磨を施すと見事な刃文として表われる。