園田佐登志とは? わかりやすく解説

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園田佐登志

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/30 08:56 UTC 版)

左から園田佐登志(ギター) / 西村 卓也(ベース) / 本山正明(チェロ)

園田 佐登志(そのだ さとし、1954年 - )は、日本ギタリストDJ映像作家、フィールド・レコーディスト。別名:昼間○助、葉月成美[1]

明治大学・現代の音楽ゼミナール(通称:現音ゼミ)主宰。1970年代後半の東京のアンダーグラウンド・シーンの重要人物、サブ・カルチャーの立役者でもある。

来歴

現在の熊本県熊本市東区に生まれる。父親は国立熊本病院に勤める医師で、3人兄弟の兄2人が国立大学に進学する環境のなか少年時代を過ごす。

熊本市立帯山中学校時代、渡辺仁という転校生が園田の前に現れる。中学では同級、高校と大学では別だったが、音楽を通じて交流を持っていた。地元の商科大学の付属高校に通いフォークソング系のクラブに入り、はっぴいえんどの曲をコピーするなどしていた。

また、その仲間とは高校2年のとき、修学旅行のための貯金を切り崩して「中津川フォークジャンボリー」や、ピンク・フロイドが出演したフェスティバル「箱根アフロディーテ[2]」を観に行く。

一浪して明治大学文学部に進み、作詞作曲研究会に所属する[3]。当時はソニー・シャーロックデレク・ベイリーポール・コゾフジミ・ヘンドリックスが好きな音楽青年でもあった。園田は「作詞作曲研究会は明治大学の和泉校舎でした。3年になると駿河台校舎に移るんです」と述べている[4]

1976年5月、明治大学内に「現代の音楽ゼミナール」を発足させる。園田は浜野純との出会いについて次のように述べている[4]

渡辺仁は京都の大学に行ったんだけれども、私が明治大学で「現代の音楽ゼミナール」というのをやっていたときに、突然、「連続射殺魔って面白いバンドがあるから、できれば、メンバーに会ってください。」という手紙が来たんですよ。渡辺仁は連続射殺魔のファースト・カセットのアート・ディレクションもやっています。そのときのメンバーは和田哲郎浜野純、山本哲。で、彼らもゼミに来るようになった。それが浜野純たちとの出会いになるわけです。これが1976年。

1977年晩夏、山崎春美大里俊晴浜野純が「現代の音楽ゼミナール」で合流し、最後のハードロックバンド「ガセネタの荒野」(後のガセネタ)を明治大学で結成する。園田はバンドの録音協力や演奏場所の提供など、ガセネタ初期の活動を小沢靖と共に陰で支えた。こうした背景から、ガセネタ初期のライブやスタジオ録音の大半は、園田が場を提供した明治大学和泉校舎で行われた。

1978年には「現代の音楽ゼミナール」を発展解消する形で「Free Music Space」(通称:FMS)を以下のように開催した。

  • 1978年1月22日 -「Free Music Space 1」 
  • 1978年2月21日 -「Free Music Space 2」(Free Music Party)
  • 1978年3月19日 -「Free Music Space 3」
  • 1978年4月14日 -「Free Music Space 4」
  • 1978年5月13日 -「Free Music Space 5」

1978年9月14日には、ガセネタ+園田佐登志の即興バンド「アナルキス」(山崎春美大里俊晴+園田佐登志+浜野純佐藤隆史)を吉祥寺マイナーにて臨時編成し、ギターやリードボーカルをとる。

園田はアナルキスについて次のように述べている[5]

アナルキスの最後のテイク「結んで開いて」の直前に「はやくしろはやく」という(佐藤隆史夫人)敏子さんのクスクス声が入ってるんですね。彼女のはにかむように苦笑するさまが目に浮かぶようで、若くして亡くなったと聞いてますので、この部分はちょっと切ないです。「結んで開いて」の冒頭では私が田舎から持って来た尺八を自分で吹いています。三年どころか、ほとんど首さえ振ったことがありませんが、トレモロがイカスでしょ(笑)。

1975年から1990年頃にかけて、イベントやコンサートの他、レクチャー、DJ、CD制作、ノイズ・ミュージック試論執筆、海外のラジオ局への音源提供、日雇い労働者への支援活動などを断続的におこなった。また1990年から1994年頃にかけて、写真やビデオによる視覚・映像作品、インスタレーションなどを集中的に制作する(公募展では3回入選)。

以降、都内のパートなど不安定雇用労働者で作る労働組合(組合員数2500)に関わり、役職を多数務めるかたわら、思い出したように表現活動をおこなう。

2008年以降は、篠田昌已のライヴパフォーマンスを撮影編集した『篠田昌已 act 1987』の全国上映、ガセネタの10枚組BOX『ちらかしっぱなし-ガセネタ in the BOX』への音源提供、DVD『Maher Shalal Hash Baz / 腰くだけの犬』監修、ネットでのフライヤー・アーカイヴ「椅子物語」の作成、工藤冬里『tori kudo tapes』(10CD-R)などの企画もおこなっている。

ガセネタのベーシスト・大里俊晴は「かくも緩んだ脳味噌」「あのどこまでも脳のボタンをかけ違えた[6]人物と園田を描写した。

ディスコグラフィ

アルバム

  • 『Early Works of Satoshi Sonoda 1977→1978 Memories of Yasushi Ozawa』
PSFレコード PSFD-186 (2009年)
園田佐登志の初期ライブ音源集。不失者のベーシストだった故小沢靖と一緒に演奏したややプログレ風の「夕暮れ暗夜そして夜明け」「Poly-Perfrmance(ポリパフォーマンス)」「すべてはもえるなつくさのむこうで」では艶やかなギターだけではなく歌も披露し、三上寛のカヴァー「しょんべんだらけの湖」や「untitled」「むすんでひらいて」は山崎春美らとプレイ。
  • (曲目リスト)
    • 01:夕暮れ暗夜そして夜 02:Poly-Performance (ポリパフォーマンス) 03:すべてはもえるなつくさのむこうで 04:しょんべんだらけの湖 05:untitled 06:むすんでひらいて 07:Collective Sound Events
  • 『耳抜き Mimi-Nuki - Secondary Works of Satoshi Sonoda 1982〜1989』
PSFレコード PSFD-203 (2012年)
不失者のベーシスト・小沢靖追悼盤『Early Works of Satoshi Sonoda 1977→1978 Memories of Yasushi Ozawa』続編。
参加ミュージシャン:阿世知省吾, 秋田昌美、池田篤、石田孝、伊地知一子、上中恭、大熊ワタル大友良英、貴田薫、木村真哉(ルナパーク・アンサンブル)、工藤冬里、黒田京子、香村かをり、クロマルトン、芝井直実、島田康雄、冷水ひとみ、杉本真弓、園田佐登志、西村卓也(Che-SHIZU)、藤井博通、松井亜由美、村田陽一、本山正明(不失者の初期のメンバー)、吉村安見子、天沼ロリー(ルナパーク・アンサンブル)
  • (曲目リスト)
    • 1. Noise Rose、2. Yumbo/ユンボ、3. The Painted Bird、4. Sound Event、5. 朝と昼と、6. シダ/Shida、7. Summer Landscape、8. 耳抜き/mimi-nuki、9. Funeral

脚注

出典

  1. ^ 仁王立ち倶楽部総目次(1985.6-89.2) - 荒井真一ウェブサイト
  2. ^ 紹介記事:“1971年8月6日、伝説の野外イベント“箱根アフロディーテ”が開催”. ニッポン放送. (2019年8月6日). https://news.1242.com/article/181689 2020年9月21日閲覧。 
  3. ^ 作詞作曲研究会の写真リンク:明大作詞作曲研時代(1975年頃)/ 学園祭 @和泉校舎 - はてなフォトライフ
  4. ^ a b 剛田武『地下音楽への招待』ロフトブックス、2016年。 [要ページ番号]
  5. ^ 「70年代日本音楽シーンの地下水脈(1)」『G-Modern』27号、2007年6月、pp.80 -81
  6. ^ 大里俊晴『ガセネタの荒野』洋泉社、1992年。 [要ページ番号]

参考文献

外部リンク




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