固着性動物の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 07:36 UTC 版)
動物は“動く物”であるから、固着性の動物は“動かない動物”であり、古くは動物と認められなかった時代もある。それらが動物であると認められるようになったのは、比較解剖学と無脊椎動物学の発達による。 固着性の動物はそれほど珍しい存在ではない。海綿動物門、内肛動物門、外肛動物門などはほぼ全種が固着性である。他にも固着性のものを含む動物門は多い。また、棘皮動物門のものは、祖先が固着性で、二次的に移動できるようになったものと考えられている。固着性の動物は、大部分が海産である。 固着の仕組みを見ると、完全に一定の位置に固定されて、移動が不可能なものから、多少の移動が可能なものなどさまざまである。フジツボは岩の上に完全に固定されている。イソギンチャクは肉体で吸着しており、移動は可能であるが、通常は時速2cm程度の移動速度しか持たず、好適な場所に定着すれば、固着性と差がない。体が固定されていなくても、棲家が完全に固定されていれば、固着性と見なせる場合もある。たとえばゴカイ類においては、カンザシゴカイは石灰質の棲管を作り、その棲管は岩の上などに固定されて動けない。体は棲管から抜け出ても死ぬことはないが、移動することも、新たに棲管を作ることもない。ちなみに、ケヤリムシでは泥を固めた棲管を作るので、作り直しもするし、フサゴカイなどは小石を集めて棲管を作り、虫体はそこから抜け出して移動することもできる。これらは固着性と自由に移動する型との中間的なものである。
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