反証可能性の判定の困難さ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 08:21 UTC 版)
「反証可能性」の記事における「反証可能性の判定の困難さ」の解説
ある仮説が反証可能性を持つかどうかを判定することは難しい。次のような実験を考えてみよう。降霊会を開いて霊を呼び出す実験が失敗した。心霊現象に否定的な学者は、少なくとも今回用いた方法(条件)によって霊を呼び出せるという仮説が反証されたと考える。これに対して、心霊現象に肯定的な学者が「霊の実在を疑う者がいたための失敗」と反論する。ここで、もし心霊現象に肯定的な学者が「霊の存在を疑う者が降霊会場に立ち入らず、遠隔のビデオカメラによって撮影するならば、降霊は成功する」と付け加えるならば、この降霊理論は全体として反証可能性を持つものになる。つまり、メインの実験が失敗した後で主張者がそれに補助仮説を付け加えたとしても、その補助仮説が反証可能である限り科学的検証の場に立つことができる。反証可能性が否定されるのは、例えば、「心霊現象は科学的に分析できない」と主張するような場合である。したがって、安易に「この仮説には反証可能性がない」「これはアドホックな補助仮説である」と断定するのは危険である。 詳細は「デュエム-クワイン・テーゼ」を参照 上記の類のデュエム-クワイン・テーゼを使用した批判は野家啓一においても展開されているが、ポパーがすでに著作において、反証可能であると反論していることを小河原誠は「批判と挑戦―ポパー哲学の継承と発展にむけて」において示している。
※この「反証可能性の判定の困難さ」の解説は、「反証可能性」の解説の一部です。
「反証可能性の判定の困難さ」を含む「反証可能性」の記事については、「反証可能性」の概要を参照ください。
- 反証可能性の判定の困難さのページへのリンク