占有の承継
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/29 10:24 UTC 版)
占有の承継には、占有の承継人が前の占有者の占有を同一性を保ちつつ承継したという面と、占有承継人が新たに占有を取得したという面の二面性がある。 このことから占有者の承継人は、自己の占有のみを主張するか、あるいは自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張するかを選択することができる(187条1項)。占有が転々とした場合においては、占有の承継人は直前の占有者に限らず自らが選択する任意の占有者以降の占有を継続的なものとして併合して主張しうるのであり(187条1項の「その選択に従い」の文言、大判昭9・5・28民集13巻857頁)、また、承継人は占有を併合させる主張を改めて自己の占有のみを主張することもできる(大判大6・11・8民録23輯1772頁)。ただし、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、前の占有者の占有における瑕疵をも承継することになる(187条2項)。 これらは取得時効の要件充足の判断(占有開始時とその時の瑕疵の有無)において重要な意味を持つ(187条参照)。 なお、占有の性質に変更を伴った場合(他主占有から自主占有へ移行している場合など)には占有の併合は認められない(通説・判例)。
※この「占有の承継」の解説は、「占有権」の解説の一部です。
「占有の承継」を含む「占有権」の記事については、「占有権」の概要を参照ください。
- 占有の承継のページへのリンク