冷陰極電界放出型電子銃
タングステンチップのエミッタに、常温で強電界をかけトンネル効果により電子を放出させる電子銃。放出電子のエネルギー幅は熱電界タイプまたはショットキータイプより狭いので(〜0.4eV)、EELSにおいて高いエネルギー分解能が得られる。バーチャルソースサイズは〜10nmと小さいので干渉性が良く、電子線ホログラフィーに適する。ショットキータイプよりも微小なプローブが作れるが、全放出電流量はより少ない。したがって透過電子顕微鏡像観察において、高倍率には適しているが、中低倍率領域ではショットキータイプのほうが使いやすい。その輝度は加速電圧200kVで〜8×108A/cm2.srである。エミッタの表面が残留ガスによって汚染されやすく、放出電流が変動しやすい。市販のものは8時間程度でエミッタの先端をフラッシングする必要がある。長い時間にわたって大きな電流量で一定した電流を必要とするような分析には不向であったが、最近は、真空度の向上によりプローブ電流の安定度が改善され、使い勝手は改善されている。
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