再現の試み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/31 06:01 UTC 版)
ウーツ鋼によるダマスカス刀剣の製法は失われた技術となっている。高品質のダマスカス刀剣が最後に作られた時期は定かではないが、おそらく1750年頃であり、低品質のものでも19世紀初期より後の製造ではないと考えられる。材料工学者の J. D. Verhoeven とナイフメーカーの A. H. Pendray らは、現存するダマスカス刀剣を解析することにより、当時の製法を再現する試みを行っている。製法はまず、鉄鉱石に木炭や生の木の葉をるつぼに入れ、炉で溶かした後にるつぼを割ると、ウーツ鋼のインゴットを得る。次に、ウーツ鋼からナイフを鍛造する。ダマスカス刀剣の特徴となるダマスク模様として炭素鋼の粒子が層状に配列するためには鋼材に不純物として特にバナジウムが必要であったとされる。このことから、ウーツ鋼とダマスカス刀剣の生産が近代まで持続しなかった原因をインドに産したバナジウムを含む鉄鉱石の枯渇に帰する推測を行っている。また本研究ではこの模様の再現についても検討を行っている。鍛造中のナイフ表面に縦に浅く彫り込みを入れた後に鍛造を行うことで、彫り込みの形状に沿った模様が生じた。直線状に彫り込んだ場合ははしご模様 (ladder pattern)、丸く彫り込んだ場合はバラ模様 (rose pattern) が生じる様が報告されている。
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