円光院 (世田谷区)とは? わかりやすく解説

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円光院 (世田谷区)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 22:18 UTC 版)

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円光院(世田谷区)
所在地 東京都世田谷区世田谷4-7-12
位置 北緯35度38分35.15秒 東経139度39分3.06秒 / 北緯35.6430972度 東経139.6508500度 / 35.6430972; 139.6508500座標: 北緯35度38分35.15秒 東経139度39分3.06秒 / 北緯35.6430972度 東経139.6508500度 / 35.6430972; 139.6508500
山号 大悲山[1]
宗旨 真言宗豊山派[2]
本尊 不動明王[1]
創建年 天正年間[1][3]
開基 円光坊盛尊[1][3]
札所等 玉川八十八ヶ所霊場第49番[2][4]
公式サイト 円光院
法人番号 5010905000122
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円光院(えんこういん)は、東京都世田谷区世田谷にある真言宗豊山派の寺院[1]。詳名は大悲山明王寺円光院。

歴史

大悲山明王寺円光院はボロ市通りの入口に位置し、地元の人々から「円光院さん」との呼び名で親しまれている[5]。起源については、16世紀後半の天正年間に円光坊盛尊が開基したとの記録と[6]開山、開基とも不詳であるとの記録がある[7][8][注釈 1]

寺院となる以前、円光院付近は吉良氏の領地であった。吉良氏の領地であった時期、後に円光院となる場所には世田谷城の外郭施設のひとつとして、が建てられていたと言われている[9]

新編武蔵風土記稿』によれば、荏原郡世田ヶ谷村の円光院は同じく世田ヶ谷村の勝光院の末寺であり、大悲山明王寺と呼び本堂には不動明王を祀り、南向きに表門があり門を入って左側には閻魔堂があるとしている[7][8]

円光院の建物はしばしば強風で倒壊したと伝えられており、天保年間には蜜三和尚が本堂を修理したと伝えられている[6]。明治時代に入り、1879年(明治12年)の教育令の施行後に開設が決定された世田谷区立桜小学校は、円光院の本堂を修理の上、仮校舎として12月1日に開校した。桜小学校は翌1880年(明治13年)4月に本校舎が落成して移転するまで円光院本堂で授業が行われた[10]

しかし明治時代に入り円光院は衰微して、廃寺となってしまう見通しとなった。しかし檀家からの存続の願いもあり、1893年(明治26年)に再興された。その後1899年(明治32年)に信海大和尚が大改修を行った[6]

境内

敷地内には本堂、客殿、閻魔堂、地蔵堂、そして十一面観音堂が建てられているほか、墓苑、駐車場、休憩所、トイレが整備されている[11]

地蔵堂と閻魔堂は山門を入って左手にあり、それぞれ水子・子育て地蔵と閻魔十王像が安置されている[11]。 本堂前には宗祖である弘法大師の像が立つ[11]。十一面観音堂は永代供養墓であり100区画の納骨堂が設けられている[11]

また、門前には桜小学校発祥の地の石碑がある[12]

境内の豆汽車線路と踏切に、全国初の幼稚園列車「お日さま号」を走らせ、交通ルールやマナーなどを学ばせる場などとされた[13]

文化財

不動明王立像及び二童子立像

不動明王立像は像高65.0センチメートル。二童子立像は矜羯羅童子像が36.9センチメートル、制吒迦童子が36.5センチメートル。三像とも江戸時代の作品で、寄木造、玉眼嵌入。明治初期までは勝国寺に移されていたが、1891年(明治24年)ごろに本院に戻された[14]

弘法大師坐像

像高40.5センチメートル。江戸時代の作品で、寄木造、玉眼嵌入、彩色[14]

興教大師坐像

像高43.0センチメートル。江戸時代の作品で、寄木造、玉眼嵌入、彩色。本堂に安置されている[14]

如意輪観音坐像

像高27.5センチメートル。江戸時代の作品で、寄木造、彫眼、金泥彩。本堂須弥壇背後にある位牌壇に安置されている[14]

閻魔王坐像

像高43.0センチメートル。江戸時代の作品で、寄木造、玉眼嵌入、彩色。閻魔堂に安置されている[14]

板碑

阿弥陀丸(現在の弦巻二丁目)から、1902年(明治35年)頃に出土した。2基出土されており、1基は1318年(文保2年)の紀年があり、高さ76.5センチメートル、幅24.5センチメートル、厚さ2.3センチメートル。バクの梵字が彫られている。ほぼ完形である。もう1基は年代不明で、高さ86.5センチメートル、幅29.5センチメートル、厚さ2.3センチメートル。キリークの梵字が彫られている。こちらもほぼ完形だが、2つに折れたものが接着された形で残っている[15]

供養塔

1741年(元文6年)の供養塔。総高152センチメートル、塔身部114センチメートル。「奉納西国坂東秩父供養塔」の記載がある[16]

馬頭観音立像

年代不明。総高91センチメートル、塔身部64センチメートル[17]

画像

交通アクセス

脚注

注釈

  1. ^ 開基とされる「円光坊盛尊」の名は、第二次世界大戦後に勝国寺の木造薬師如来立像内から見つかった天正20年(注:1592年)の文書に記載されている[3]

出典

  1. ^ a b c d e 竹内秀雄 『東京史跡ガイド12世田谷区史跡散歩』株式会社学生社、1977年、44頁。 
  2. ^ a b 「全国霊場大辞典」編纂室 尾園忠幸 『全国霊場大辞典』株式会社六月書房、2000年、609頁。 
  3. ^ a b c 『世田谷 往古来今』p.80
  4. ^ 大法輪閣編集部/編 『全国霊場巡拝事典 改訂新版』大法輪閣、2005年、232頁。 
  5. ^ 『世田谷城下史話』pp.58-59
  6. ^ a b c 竹内(1977)p.44
  7. ^ a b 下山(1994)p.40
  8. ^ a b 新編武蔵風土記稿.
  9. ^ 東京都世田谷区教育委員会(1979)p.50、世田谷区生活文化部文化・交流課(1999)pp.19-20
  10. ^ 東京都世田谷区立桜小学校(1970)pp.14-17
  11. ^ a b c d 寺院墓地 円光院のご案内”. 山六工業株式会社. 2017年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年6月10日閲覧。
  12. ^ 世田谷区区長室広報課 企画・編集 『一歩二歩散歩 : 新・せたがやの散歩道』世田谷区区長室広報課、1987年3月、53頁。 
  13. ^ Setagaya100 2020, p. 267.
  14. ^ a b c d e 東京都世田谷区教育委員会編 『世田谷区社寺史料 第一集 彫刻編』東京都世田谷区教育委員会、1982年、25-29頁。 
  15. ^ 東京都世田谷区教育委員会 編 『世田谷区現存板碑集成』東京都世田谷区教育委員会、1984年3月、9-10頁。 
  16. ^ 東京都世田谷区教育委員会編 『世田谷区石造遺物調査報告書Ⅳ 道標および供養塔』東京都世田谷区教育委員会、1985年、48頁。 
  17. ^ 東京都世田谷区教育委員会編 『世田谷区石造遺物調査報告書Ⅳ 道標および供養塔』東京都世田谷区教育委員会、1985年、146頁。 

参考文献

  • 下山照夫 (1994). 史料に見る江戸時代の世田谷. 岩田書院. ISBN 978-4900697195 
  • 世田谷区生活文化部文化・交流課 (1999). ふるさと世田谷を語る-世田谷・桜・桜丘・弦巻-. 東京 世田谷区生活文化部文化・交流課 
  • 竹内秀雄 (1977). 世田谷区史跡散歩. 学生社 
  • 東京都世田谷区教育委員会 (1979). 世田谷の中世城塞. 東京都世田谷区教育委員会 
  • 東京都世田谷区立桜小学校 (1970). 桜校沿革誌. 東京都世田谷区立桜小学校 
  • 世田谷区政策経営部政策企画課 (2017). 世田谷 往古来今. 世田谷区政策経営部政策企画課 
  • 人見輝人 (2000). 世田谷城下史話 
  • 「世田ヶ谷村」 『新編武蔵風土記稿』 巻ノ48荏原郡ノ10巻内務省地理局、1884年6月。NDLJP:763982/5 
  • 『写真が語る 世田谷区の100年』いき出版、2020年1月31日。 ISBN 978-4-86672-044-9 

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