内部の議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/13 19:28 UTC 版)
NSC-68は、冷戦が無闇に拡大しつつあると考える上級官僚から、若干の批判を受けた。報告書が正式に大統領に提出されるに先立ち、審査のためトルーマン政権の最高幹部に送付された際、彼らの多くはその議論を嘲笑した。ウィラード・ソープは、同文書の「ソ連は、自国の総合的経済力と合衆国のそれとの差を着実に縮めつつある」との主張を疑問視した。ソープは、「思うに、この立場は進展するどころか逆行している... 実際の差は拡がりつつあり、我々に有利になっている」と論じた。彼は、米国経済は1949年にソ連経済の2倍に達したと指摘した。米国での鉄鋼生産はソ連を200万t上回り、商品と石油生産の備蓄はソ連の総計を遥かに超えた。ソープは、ソ連が軍事費にGDPの多くを割いていたとされることにも懐疑的であった。「私は、ソ連の投資額は住宅政策の方が多いとみている」。予算局のウィリアム・ショーブ (William Schaub) は特に辛辣で、空軍、陸軍、海軍、原爆保有数、経済など、「どの分野においても」米国はソ連よりはるかに優れていると信じていた。ケナンもまた(封じ込め政策の「父」ではあるものの)、同文書、特に大規模再軍備の要請には賛同しなかった (FRUS, 1950, Vol. I)。
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