内積空間における中線定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/29 18:17 UTC 版)
「中線定理」の記事における「内積空間における中線定理」の解説
中線定理は内積を有するベクトル空間(内積空間、計量ベクトル空間)の一般的性質としてとらえることができる。内積空間V に対し、内積<·, ·>によって定義されたノルム ‖ x ‖ := ⟨ x , x ⟩ {\displaystyle \left\|{\boldsymbol {x}}\right\|:={\sqrt {\left\langle {\boldsymbol {x}},{\boldsymbol {x}}\right\rangle }}} を与えると、任意の元x, y ∈ V について、次の中線定理が成り立つ。 ‖ x + y ‖ 2 + ‖ x − y ‖ 2 = 2 ( ‖ x ‖ 2 + ‖ y ‖ 2 ) {\displaystyle \left\|{\boldsymbol {x}}+{\boldsymbol {y}}\right\|^{2}+\left\|{\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {y}}\right\|^{2}=2(\left\|{\boldsymbol {x}}\right\|^{2}+\left\|{\boldsymbol {y}}\right\|^{2})} 中線定理の成立は、計量ベクトル空間におけるノルムがある内積から導かれるための必要条件であることを示しているが、逆に十分条件でもあることが、フォン・ノイマン及びパスクアル・ヨルダンによって示されている。すなわち、必ずしも内積を有していないノルム空間において、ノルムが中線定理を満たすならば、そのノルムを与えるような内積が存在する。 実際、中線定理が成立している場合に、実数体R上のノルム空間の元x, yに対して、 ⟨ x , y ⟩ := 1 4 { ‖ x + y ‖ 2 − ‖ x − y ‖ 2 } {\displaystyle \langle {\boldsymbol {x}},{\boldsymbol {y}}\rangle :={\frac {1}{4}}\{\left\|{\boldsymbol {x}}+{\boldsymbol {y}}\right\|^{2}-\left\|{\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {y}}\right\|^{2}\}} もしくは複素数体C上のノルム空間の元x, yに対して、 ⟨ x , y ⟩ := 1 4 { ( ‖ x + y ‖ 2 − ‖ x − y ‖ 2 ) + i ( ‖ x + i y ‖ 2 − ‖ x − i y ‖ 2 ) } {\displaystyle \langle {\boldsymbol {x}},{\boldsymbol {y}}\rangle :={\frac {1}{4}}\{(\left\|{\boldsymbol {x}}+{\boldsymbol {y}}\right\|^{2}-\left\|{\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {y}}\right\|^{2})+i(\left\|{\boldsymbol {x}}+i{\boldsymbol {y}}\right\|^{2}-\left\|{\boldsymbol {x}}-i{\boldsymbol {y}}\right\|^{2})\}} で内積を導入することができる。
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